本年度も確定申告シーズンが到来しました。所得税確定申告作業を電子的に行う、いわゆる「e-Tax」は以前に比べるとだいぶ普及してきた感があります。ここでe-Taxと呼ぶ場合、
といったさまざまな用途を指す言葉として広く使われているので、関係者の間でもときどき混乱があるようです。
さて、e-Taxでの申告書提出方法は大きく分けて3つあります。
書面提出の場合(本人または代理人が作成)
電子送信の場合その1(本人が作成)
電子送信の場合その2(税理士など、代理人が作成)
一般的に「申告は税理士に頼んで」というときは上記「その2」に該当します。電子証明書は住民基本台帳カードやマイナンバーカードなど、証明書情報がICチップに埋め込まれたものを使うケースが多いかと思われます。
書面提出は従来紙で行っていた作業の作成部分を画面に置き換えたシンプルなフローになります。この場合の画面UIや提出フローは非常にシンプルかつ親切に設計されていて、納税者自身の操作でも大きな混乱はなく申告完了までたどりつけるでしょう。税務署の確定申告書作成支援会場にはこれらの入力画面を使える端末がいくつか用意されているので、係員のガイドに従って操作すれば誰でも使えることでしょう。(混雑しますが)
一方、電子送信で申告書を送信しようとしたとたんに作業のハードルは一気にあがります。
上記その1(本人が提出する)の場合はこんなデメリットがあります。
上記その2(代理人が提出する)の場合はこれらに加えて
という状況になります。多くの申告書を作成することで業務フローには慣れていても、特に申告ソフトの操作はいつまでたっても効率を上げることができず、私もストレスを感じながらこの時期を過ごしています。
申告ソフトは国が提供する純正「e-Taxソフト」や、市販では「達人」といったパッケージソフトなどがありますが、どれも一般利用者を想定していないせいか操作感が悪いという状況にあります。特に「e-Taxソフト」のUIは、必要な機能をとにかく詰め込んだだけで操作感をまったく考慮していないため、非常にストレスのたまります。国の肝いりで多額のコストをかけたのにこの完成度には大いに疑問を感じます。
「e-Taxソフト」が使いにくい原因としては以下が考えられます。
長々と書きましたが、端的に言うと
e-Taxソフト使いにくすぎるのでなんとかしてくれ
という話でした。いやちがうな。これまでの歴史を踏まえてもうe-Taxソフトそのものがよくなることはほぼ諦めてるので、同じ機能をスムーズに実現してくれる破壊的プロダクトの出現を待望しているこの頃です。
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確定申告シーズン到来ですが、少々息切れ気味です。
時節柄か、新規のお客様の問い合わせも不定期でお受けしているのですが、開業まもないお客様の場合は多くの共通した悩みがあります。典型的には以下のような内容です。
このような相談はお客様の置かれた状況によって解が異なるので、状況をお伺いして適切な回答になるよう都度考えることになります。今後はこのような相談も、いわゆるAIの発達によって定型化・自動化が図られていくのかもしれないな、とふと考えたりします。定型業務と違って多くの変数があるので簡単にはいかないと思いますが、そんな時代はまだ先と思っている間に記帳作業や仕訳登録はクラウド会計ソフトによって自動化されてしまいました。開業相談のような変数を限定できそうな個別の相談業務もいずれはそうなるという前提で、AIを活用しつつ独自の付加価値を提供していく方法を考えていくことが避けられなさそうです。
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本年度の法定調書業務もなにごともなく無事完了しました…と言いたいところですが、今年は少々事情が違ったようで、地方税ポータルシステム(eLTAX)でトラブル続きで参りました。提出期限の1月31日前後にeLTAXのシステムへのアクセスが集中してつながりにくいという状況が続き、現在も収束しておりません。
私自身の業務としても26日前後はまだましでしたが、27日から31日まではほとんどつながらなかったという印象です。あまりにトラブルが続くので、eLTAX自身や自治体も2月1日までの受理を容認するという声明を出さざるを得ない事態になっています。
eLTAX(地方税ポータルシステム)
eLTAX へのアクセス集中に伴う、法人事業税、地方法人特別税、法人都民税、事業所税、固定資産税(償却資産)の申告書の対応について(東京都主税局)
http://www.tax.metro.tokyo.jp/oshirase/2017/20170131.pdf
eLTAXにアクセスできない。遅延?寝てるの?税理士の悲鳴続出(togetterまとめ)
https://togetter.com/li/1076027
1月末は「合計表」「給与支払報告書」「償却資産税申告書」と提出期限が集中する時期なので(11月決算法人の申告期限でもあります)、このような状況は容易に予測可能かと思われます。今年のような状態は来年は万全に対策してもらいたいものです。
さて、本題はここからになります。毎年この時期に行われる法定調書業務をざっくり表現するならば
「昨年一年間の給与や報酬の支払い状況をとりまとめて税務署や自治体に対して報告する」
という仕事で、よりぶっちゃけて書くならば
「徴税業務の代行作業(税務署や自治体の作業負担が企業や会計事務所に転嫁される)」
といえます。業務として手掛けておきながら書くのも気が引けますが、体よく当局の作業の肩代わりを押し付ける制度設計になっている感は否めません。そのわりには法定調書業務は煩雑な手順を踏むのですが、具体的には次の手順で進められます。
思いつくだけで「給与計算ソフトへのデータ入力」「給与計算結果の目視チェック」「給与計算ソフトから申告ソフトへの転記」「申告ソフトから出力した提出書面データの目視チェック」「申告システムへの提出」という場面でそれぞれ手作業が発生しており、目視チェックは仕方ないにしても非常に効率の悪い作業に思えます。
一定人数以上の企業であれば源泉所得税の集計と支払いは毎月行っているはずですので、従業員ごとの支払額や源泉税額をマイナンバーで名寄せして当局側で集計することもできるはずなのに、そのような制度設計にはなっていません。当局にしてみればおそらく既存の書式を変更ないし廃止するインセンティブは働かないので、書式どおりに提出されることが優先なのでしょう。これはマイナンバーが導入されても大きな変化はなく、むしろより煩雑になった感があります。
しかしよくよく考えてみると法定調書のとりまとめに必要な要件はそれほど多くありません。代表的な書面についていえば、必要なデータは以下のとおりです。
企業側からすると、期中の給与や報酬に次のような情報が含まれていればこれらの自動集計も容易に実現できることがわかります。
せっかくマイナンバーがあるので、やろうと思えば支払先ごとの名寄せもできるはずですし、法定調書の書式に落とし込む作業も当局側で行って事業者側は確認すればOK、という運用もできるはず。たとえばこんな感じで。
そのようにはならずに現行制度で法定調書(画面や紙)にわざわざこれらのデータを再入力して改めて書面で提出するという状態になっている現行の制度設計は、非常に効率が悪いと思いますがいかがでしょうか。eLTAXの使い勝手以前に、提出業務そのものにメスを入れる必要があるように思えます。
この時期に多くの企業や会計事務所が法定調書の作成に追われることそれ自体に漠然と(というか露骨に)疑問を感じてしまったのでやや極論を書いてみましたが、法定調書業務に今後イノベーションは起きるのでしょうか。直接的にメリットを受けるのは企業そのものより会計事務所という一部のマーケットという気もしますが、この領域でのバックオフィスの非効率を解消する動きに淡い期待を持ちつつ、来年の法定調書業務も頑張りたいと思います。
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前のエントリではさらっとマイナポータルについて書いてしまいましたが、サービスがリリースされて以来いろいろ問題視されているようです。
「マイナポータル」の動作環境が絶望的と話題
https://r25.jp/society/00055146/
内閣府のマイナンバーポータルサイトにバグがあるとの情報 201701202131
https://togetter.com/li/1072479
問題の所在はいくつかありますが、大きく以下の点に集約されるようです。
個人的に1.は仕方ない面があるものの、2.3.についてはサイト運営者の努力で解決できるレベルかと思われます。安心して使える環境が整うまでは静観しているのが安全かもしれません。
という私もマイナンバーカードを作ってみたものの利用する機会が「乞われたときにマイナンバーを提供するとき」ぐらいしかなくて費用対効果はいまいちです。行政手続に限定して利用されるマイナンバーですが、現段階でこの状態ではあまり活用する機会が拡大することもなさそうです。
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法定調書・申告シーズン真っ盛りです。
さて、マイナンバーのポータルサイト(マイナポータル)と国税電子申告・納税システム(e-Tax)が連携したというニュースが流れてきました。
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_290113_mynaportal.htm
具体的には
ということのようです。実際に試したわけではないのでなんともいえないですが、現段階で利用できる手続は以下のとおりです。
マイナポータルを利用するのは基本的に個人でしょうから、現段階では納税証明書の発行申請がマイナポータルから利用できるようになるという点で便利になります。
そして大変残念なことに、個人でもっとも利用されるであろう所得税の確定申告はこの連携の対象外らしく、以下の文言が出てきます。
所得税の申告書等を作成される方は、確定申告書等作成コーナーをご利用ください。同コーナーを利用して作成した申告書をe-Taxにより提出される場合、上記のマイナポータルを経由してログインした場合でも、送信の際には、従来どおりe-Tax用の利用者識別番号と暗証番号を入力する必要がありますのでご留意ください。
マイナポータルもいろいろがんばっているようですが、もっとも高いであろう需要に対応していないのはいただけません。
今後の対応を期待したいと思います。
時節柄繁忙期になってまして、毎年この時期はいかに効率的に仕事を進めるべきか悩みます。スケジュールはだいたい同じなのに遅延になりがちで、原因はいろいろあるのですが自身の作業効率に起因するところが大きいように思えて毎年悶々としております。
そこで今年は少しでも作業効率を上げるために、チーム作業のパフォーマンス向上に使われるプロジェクト方法論「Scrum」を部分的に導入してみました。リモートスタッフを除いて実質一人での作業になるため、いわば「一人スクラム」になります。
Scrumの概要についてはこちらの書籍が参考になろうかと思います。ソフトウェア開発の世界では普及してますが、近年ではさまざまなプロジェクト作業の現場で採用されているという状況です。書籍だとこちらが参考になります。
Scrumがチーム作業の効率を上げるのに有効なことは明らかなのですが、実質一名の作業で効果が果たして出るか2週間ほど回してみました。具体的には次のような運用です。
ある日のタスクリストはこんな感じになってます。
結果、「一人スクラム」にも一定の効果があることが見えてきました。形に見えるメリットとしては以下のものがあります。
作業単位の効率を上げるために、仕事の仕組み化を積極的に考えるようになっていったのも収穫の一つでした。一方でデメリットとしては、やはりチームワーク改善のための方法論なので一人の作業での効果は限界があるという点でしょうか。スクラムはやはりチームで組まないとね、という結論になるようです。
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ねこは低生産性でも怒られないのでうらやましいです。
それはさておき、話題になっているので一気読みしてみました。
タイトルは煽り気味ですが内容はいたってまとも。日本の「一人当たり生産性」に注目して、今後の成長に向けた問題提起をする一冊です。ところどころ話が飛躍しているように思える箇所はあるものの、客観的なデータに基づき説得力のある提案を行っています。IT活用に関しても手厳しい意見が続き、耳の痛いところです。
著者の主張は問題提起にとどまらず、改善提案を含めて一連の記事にまとめられています。
本社の著者が主張する「日本のビジネス現場の生産性の低さ」は総論において賛同するところではありますが、低生産性のもっとも大きな要因として「新しいことに対する心理的な抵抗感や風土」があるのではないかと思われます(本書でも触れられています)。具体的には「頭の硬い上司」「古い制度設計」「社内の空気」「行政や規制」などがあり、それらを構成する一定人数が、生産性を上げる動きに待ったをかける、足を引っ張るという行為が善意や悪意によってなされることで、全体の生産性が低いほうに収斂していくという肌感覚を覚えます。古い言い回しだと「抵抗勢力」と呼ばれる動きであり、新たな取り組みをする人にとっては「ノイズ」にすぎません。
一方で、私の周辺で観察する限りでは、高いモチベーションをもって前向きに物事に取り組んでいる人は決して少なくはありません。仮にそのような人々が存分に力を発揮するには、環境の面で生産性の足を引っ張る要因は「関係者を説得していく」か「制度的になくしていく」か「無視して先に進む」かの方法しかなさそうです。これらの要因を克服するに越したことはないですが、経験的には一定の年齢に達した人は新しい考え方や動きを受け入れにくい思考になるので、「無視して先に進む」のがもっとも効率的な方法に思えます。行政や規則であればルールを変えるのにパワーが必要ですが、無視してどんどん動くほうがより容易でしょう。
これから新しいことや前に進むことを志す人は、このような一定割合の「ノイズ」にひきずられることなく目標に向かっていく気概が求められると思います。私自身も、これまでのやり方にとらわれることなく新たな仕事のスタイルをどんどん取り入れていくべきと思わされる一冊になりました。
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償却資産税の申告期限は1月31日です。
という話題とは別に、東京都が公開している償却資産税申請用のExcelファイルの仕様が酷い、という話題が流れてきたので見に行きました。
償却資産申告書がネ申Excelすぎて厳しいので結局手で書いてる。行列ともに判別できないのだけどこれは人の手で作ったんだろうか pic.twitter.com/sKp3VjNgrM
— Takahiro Ikeuchi (@iktakahiro) January 6, 2017
おっとこれは、ということでダウンロードしてみました。「Excel版償却資産申告書一式 【一般方式用】【電算処理方式用】」という書式です。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shomei/index-z10.htm
これはなかなかひどい。
特に数値入力欄の桁数が意味をなさない仕様は個人的に不毛に感じます。
@iktakahiro しかも数式欄は桁表記の意味をなしておらず桁区切りの点線は画像。もはやなにをやりたいかわからないレベル pic.twitter.com/F4YHSEjUoL
— はらさんち (@kan65535) January 8, 2017
公開されているファイルのひとつは電算処理方式用とされていますが、セル単位での入力情報がないのでこのシートを使っての入力と電子的な申請は実質的に不可能です。またPDF書式も別途公開されているので、手書き用途という位置づけでもなさそうです。おそらくこの書式の結合されたセルに入力された情報を当局では「「印刷して」電算システムに「再入力する」という運用なのでしょう。自治体の書式改変のハードルが高いことを想像すると容易に想像できる運用です。
データの再利用性を何ら考慮していない書式で、このようなファイルが公開され続けてユーザーが利用する可能性を留保され続けているという状況はある種の公害といえましょう。
なぜこのようなシートが公開されているのかを考えてみますと
などが挙げられます。「お絵かき」であれば作成者の自己満足にすぎず、罫線情報を画像で挿入したことも理解できます(納得はできませんが)。いずれにしても利用者の利便性やデータの再利用性という観点では本ファイルは使われるべきではありません。ましてやこのようなファイルを作成することは、国税を財源として行われる作業ではないでしょう。
対策としては
などがありそうです。一方でeLTAXのほうもこれはこれで到底使いやすい仕組みではないので、納税者自身で作成することを意図するのであればUIを工夫して既存書式を意識せずに入力提出まで完了する仕組みを実装してもらいたいと思います。
新年あけましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年以上に、スピード・効率・正確性を重視したお客様本位のサービスに努める所存です。
さて、既報のクレジットカード納税サービスが本日(2017.1.4)より開設されております。
国税クレジットカードお支払サイト
東京都 都税クレジットカードお支払サイト
国税の場合、以下の手順で納付が可能になっています。
「領収書が発行されない」「申込の取消ができない」「納付額に応じて手数料が発生する」などいくつか気をつける点がありますが、窓口やATMやネットバンキングに加えて選択肢が増えたことは歓迎したいところです。
近いタイミングでは申告所得税や法人税が納付できそうですので、一度お試しになってはいかがでしょうか。
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今年もおわりですね。
2016年12月26日に、日本公認会計士協会IT委員会研究報告第50号として
「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」
が公表されました。
http://www.hp.jicpa.or.jp/n_member/specialized_field/20161226ahs.html?t
平成17年9月8日付けで公表したIT委員会研究報告第30号「e-文書法への対応と監査上の留意点」の見直しの一環として公表されています(本研究報告にともない30号は廃止)。
平成27年及び28年の内閣府令改正にともなう企業側の対応として想定するべき事項が記載されており、実質的に、上場企業ないしは上場準備企業が対象になります。
平成27年と28年の改正概要が付録を含めてコンパクトにまとめられているので、概要を理解するには役立ちそうな資料になっています。「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」ひな形も説明もあります。
内容は公開草案から大きく変更されてはいませんので、以前のエントリを再掲します。
(以下再掲)
本研究報告では「監査証拠がイメージ文書の場合の留意点」として、以下の4点が挙げられています。
1番目は「被監査会社の内部統制への影響」として、企業側で留意するべき点です。
(1)イメージ文書の特性から生じるリスク(改竄の痕跡、大規模な漏洩など)
(2)リスクの評価と対応及び統制活動
・全般統制
ア.スキャナ保存システムの開発管理
イ.アクセス権の管理及びユーザー認証
ウ.バックアップの実施
エ.情報セキュリティ対策の実施
オ.情報システムの運用管理
・業務処理統制
ア.関連付け
イ.電子署名
ウ.タイムスタンプ
エ.履歴情報の保存
オ.原本とイメージ文書の照合
・職務の分離
(3)モニタリングの実施
全般統制においては、スキャナ保存システムの開発管理や運用管理への影響が懸念され、また運用管理については文書の電子化プロセスや履歴情報の保存や保管という観点での管理運用規定の整備が求められることから、いずれにしても相応にパワーがかかりそうです。
業務処理統制においては、イメージ文書と帳簿の関連付けや電子署名の実質的な義務付けなど、こちらも従前の社内システムで対応できないポイントが多い模様。
2番目は「監査人の対応」として、監査人側で留意するべき点です。
(1)スキャナ保存手続の理解
(2)スキャナ保存に関する内部統制の理解及び整備・運用状況の有効性の評価
(3)不正リスクの検討
(4)イメージ文書の証明力の評価
特に(4)については「原本以外の文書の信頼性」が内部統制に依存するものとして、その証明力を評価するための追加的な手続を求めています(正しい管理番号が付されているか、電子署名やタイムスタンプの確認など)。対応する企業側としては、これらの手続に耐える運用を検討することになります。
3番目は「原本の保存に関する被監査会社との協議として、被監査会社と監査人が協議するべきポイントが例示されています。
(1)原本保管する必要性のある書類及びその期間の検討
(2)被監査会社の内部統制の検討
(3)文書管理規程等の改訂の検討
監査人との打ち合わせアジェンダのひな形として使われそうです。
4番目は「コンピュータ利用上の留意点」として、イメージ文書の取扱い全般にわたる留意点です。
(1)スキャナ保存データを利用した不正リスク対応
(2)スキャナ保存データの取扱い
(3)イメージ保存データ入手時の取扱い
(3)については「データ提供依頼書」といった文書を通した手続により、正確性・網羅性・正当性を担保するルールを定めています。
改正後の運用は29年1月1日より可能ですが、仮に導入を進める場合には社内システム更新への影響は早めに見積もっておいたほうがよさそうです。
(再掲おわり)
※当事務所では新スキャナ保存制度対応のご相談も承っております。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/e5d2273b248067
2016年は最後の更新になります。
2017年もよろしくお願い申し上げます。
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