週刊「税務通信」NO.3544の記事より。

2018年6月15日に公表された「未来投資戦略2018」では「従業員の社会保険・税手続の簡便化」を検討しているそうです。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

施策てんこもりといったボリュームで非常に意欲的な内容ですが、興味を惹いたトピックはこちらです。(太字下線は筆者)

①個人向けワンストップサービスの実現
・個別手続のみに着目した従来の「縦割り」型のオンライン化から脱却し、徹底した利用者視点に立ち、多くの国民の生活に大きな影響のある個人向け行政手続等のワンストップ化を強力に推進する。
・具体的には、同じ内容について複数の異なる窓口での手続を強いられている「引越し」や「死亡・相続」については、それぞれ来年度から、「介護」については本年度から順次サービスを開始する。
・自動車保有関係手続に関するワンストップ化を充実・拡充するため、自動車検査証の電子化の推進、引越しワンストップサービス等との連携、軽自動車保有関係手続のワンストップ化に取り組む。
②法人向けワンストップサービスの実現
・世界最高水準の起業環境を実現するために、法人設立手続のオンライン・ワンストップ化を行うこととし、以下の事項に取り組むとともに、定期的に取組状況を検証し、平成33年度目途で見直しを行い、必要な措置を講ずる。
マイナポータルを活用した法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて、技術的検討と準備を開始し、登記後の手続のワンストップ化は来年度中、定款認証及び設立登記を含めた全手続のワンストップ化は平成32年度中に実現する。
オンラインによる法人設立登記の24時間以内の処理及び世界最高水準の適正迅速処理を目指した業務の徹底的な電子化の来年度中の実現に向け、法務省は本年度実施予定の登記情報システム更改で業務効率化施策を実施するとともに、登記の審査の効率化等について本年度中に対応策の結論を得る。
-株式会社の設立手続に関し、一定の条件の下、本年度中にテレビ電話等による定款認証を可能とし、平成32年度中に、定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象に、24時間以内に設立登記が完了する取組を全国実施する。今後とも、より効果的かつ効率的な定款認証手続の実現及び利便性の向上に努める。
-法人設立登記における印鑑届出の任意化の平成32年度中の実現に向けて、法務省は来年中の商業登記法改正に向けて取り組むとともに、商業登記電子証明書の普及促進も含めて、システム改修等の実施に必要な準備を進める。
・規制改革推進会議の「行政手続コスト削減のための基本計画」に基づき、国税・地方税・社会保険の手続について簡素化、オンライン化、ワンストップ化の取組を進める。
・企業が行う従業員の社会保険・税手続について、ライフイベントに伴う手続のオンライン・ワンストップ化を平成32年度から順次開始するとともに、企業と行政機関のデータ連携を実現する方向性を本年度にまとめ、以降順次、実現に向け取り組む。
・法人インフォメーションや法人共通認証基盤を活用した補助金・規制手続のワンストップ化について、来年度中にシステム化に着手し、平成32年度から政府全体で活用できる環境を目指す。

大きく分けて「定款認証」「登記申請」「登記後手続」について順次ワンストップ化を進め、最終的には全手続をワンストップ化するとのこと。定款認証から登記完了まで24時間以内に実現すれば現状の7-14日よりは大幅な前進になりますが、仕組みをうまく構築できるでしょうか。印鑑届出はもはや行政手続のボトルネックでしかないので、電子証明書などによる本人認証を徹底する方向で動いてもらえればと思います。

従業員の社会保険・税手続のワンストップ化においては、企業側と行政側がそれぞれ別々にデータを運用していては機能しないので、データは原則としてクラウドに保存し、一定の要件のもとに本人の了解を得る手続きを経て行政側がデータにアクセスする仕組みを構築するしかないと思いますが、プラットフォームのコスト負担をどう考えるかといった点をはじめ課題がいくつもあります。e-Taxのように行政本位でユーザーの利便性ゼロの仕組みをまた一から作るといった展開は勘弁願いたいところです。

ともあれ、文書を俯瞰する限りはかなり本気度を感じますので、単なる作文ではなく実効性をもった仕組みをもって運用されることを淡く期待したいと思います。

 

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「よろず相談される専門家」への道は長い

月曜日 , 2, 7月 2018 「よろず相談される専門家」への道は長い はコメントを受け付けていません。

今回は軽い話題です。

関与先となっているクライアントとは定期的にミーティングを行いますが、ここ最近のミーティングで本題とは別に「実は…」と切り出されることがたまたま続きました。会計・税務のミーティングの延長で必然的にお金がらみの相談になるわけですが、普通ならば話しにくいご自身やその周辺のお金の事情を包み隠さず話してくれる程度に信頼関係を築くことができたように思えて少し安心した次第です。(一昔前だとお客様に身内の縁談の相談をされて一人前、と言う時代もあったようですが、残念ながらそのような相談は受けたことがありません)

考えてみると、内容に関係なく何でも相談してもらえる「よろず相談窓口」というのはお客様との関係としてはある意味理想的と言えます。もちろんこちらの専門外のご相談もあるのでその場合は適切な方とつなぐことになるわけですが、そういったネットワークや自分の専門性も含めて大事なことを話せる相談相手とお客様が考えてくださり、包み隠さずなんでも話してくれるところまで信頼していただけるようになってきたというのは非常にありがたいことです。短期間でこのような関係を築くのは難しいですが、日々できることをしっかり行ってお客様をサポートしていくことでしか到達できないと感じます。専門性も大事なのですが、お客様との関係においてはさらに一歩踏み込んだものが必要になります。

「XXコンサルタント」「XX士」という肩書はさておき、「よろず相談」の相手としてもらえる間口の広さとしての価値と、本来自分が持つべき「専門性」の価値をうまくバランスさせて、お客様に高い価値を感じ取っていただけるように今後も精進していく必要があります。独立して何年経っても学ぶべきことはまだまだ多くあるなと感じたこの頃でした。

 

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AIが代替可能な経理作業の範囲は?

月曜日 , 25, 6月 2018 AIが代替可能な経理作業の範囲は? はコメントを受け付けていません。

週刊「経営財務」No.3364号では「企業分析の視点からみたIFRS財務諸表」と題してIFRS財務諸表の活用に関するコラムが連載されていますが、今週は「第3回 旅するデータ」というタイトルで開示における自動化・AIによる代替可能性について述べられています。AIが開示分析や投資判断ができるようになるまで多くのハードルがありますが、日々進化する技術によってそう遠くない時期に実現が期待できそうです。(ご興味ある方は同誌バックナンバーをご覧ください)

個別財務諸表作成プロセスを前提にするならば、それぞれ以下の局面でいわゆるAIによる自動化や省力化が進められます。

  1. 原紙証憑-仕訳登録
    • 明細データからの仕訳候補生成
    • 原紙証憑からの意味情報抽出
  2. 試算表-決算整理
    • 異常値検出(前期比較や使用頻度の低い科目など)
    • 整合チェック(残高と明細など)
    • 類似仕訳の生成
  3. 決算書作成-開示
    • 開示様式への会計データ流し込み(科目の集約や組替など)
    • 注記情報の生成(本表との整合性チェックなど)
    • 他社比較、横断分析など

現段階でクラウド会計ソフトが実現しているのは上記の1や2の領域ですが、個人的に期待しているのは「決算書-開示」の領域で、現状では決算整理後の会計データから開示用資料(注記を含む会社法計算書類など)に仕上げる作業には感覚的に大きく「ジャンプ」する必要があり、なかなか自動化が進められていません。経理作業としても割り切って「試算表前」「試算表後」と異なる作業で切り分けて進めるイメージがあります。このプロセスに人間があまり介在せずに自動化が図られていくと、経理プロセスにより大きなブレークスルーが訪れることが期待できそうです。

「経理の自動化」はすっかりブームになりつつありますが、今後ますます適用領域が拡大していくことが予想されます。一方でAIで代替することが困難な判断業務についてより専門性の高い知識が求められるでしょうから、会計人のはしくれとしてはこの点についてもたゆまぬ努力が求められることになりそうです。

 

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「投資家と企業の対話ガイドライン」の公表

火曜日 , 12, 6月 2018 「投資家と企業の対話ガイドライン」の公表 はコメントを受け付けていません。

金融庁が2018年6月1日付で「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表しました。

「投資家と企業の対話ガイドライン」の確定について

https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180601.html

コーポレート・ガバナンス・コード(CGC)およびスチュワードシップ・コードの附属文書として、機関投資家と企業の対話において重点的に議論することが期待される事項を取りまとめたものです。

本ガイドラインは、コーポレートガバナンスを巡る現在の課題を踏まえ、スチュワードシ
ップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードが求める持続的な成長と中長期的な企業
価値の向上に向けた機関投資家と企業の対話において、重点的に議論することが期待される
事項を取りまとめたものである。機関投資家と企業との間で、これらの事項について建設的
な対話が行われることを通じ、企業が、自社の経営理念に基づき、持続的な成長と中長期的
な企業価値の向上を実現し、ひいては経済全体の成長と国民の安定的な資産形成に寄与する
ことが期待される。

本ガイドラインは、両コードの附属文書として位置付けられるものである。このため、本
ガイドラインは、その内容自体について、「コンプライ・オア・エクスプレイン」を求める
ものではないが、両コードの実効的な「コンプライ・オア・エクスプレイン」を促すことを
意図している。企業がコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施する場合(各原則が
求める開示を行う場合を含む)や、実施しない理由の説明を行う場合には、本ガイドライン
の趣旨を踏まえることが期待される。 (前文より)

とあるので、本ガイドラインを通じてCoEの実効性を高めようとしているのでしょう。

本ガイドラインの内容は以下5項目になります。

  1. 経営環境の変化に対応した経営判断
  2. 投資戦略・財務管理の方針
  3. CEOの選解任・取締役会の機能発揮等
  4. 制作保有株式
  5. アセットオーナー

気になるところを抜粋してみます。

【取締役会の機能発揮】
3-6. 取締役会が、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、適切な知識・
経験・能力を全体として備え、ジェンダーや国際性の面を含む多様性を十分に確保
した形で構成されているか。その際、取締役として女性が選任されているか。

【独立社外取締役の選任・機能発揮】
3-8. 独立社外取締役として、適切な資質を有する者が、十分な人数選任されているか。
また、独立社外取締役は、資本効率などの財務に関する知識や関係法令等の理解な
ど、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に実効的に寄与していくために必要
な知見を備えているか。

【監査役の選任・機能発揮】
3-10. 監査役に、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する
人材が選任されているか。
3-11. 監査役は、業務監査を適切に行うとともに、適正な会計監査の確保に向けた実効
的な対応を行っているか。監査役に対する十分な支援体制が整えられ、監査役と内
部監査部門との適切な連携が確保されているか。

「取締役会のダイバーシティ向上」や「企業価値の向上に向けた独立社外取締役の機能発揮」への期待はなかなか「いまどき」な記述ですね。監査役の選任・機能発揮については、社外監査役を拝命している我が身に直接関わる事項として、投資家との会話が起きる局面において常に意識しておきたい点だと思います。

 

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「スマートフォンゲーム等における収益認識基準に関するガイドライン」概略

火曜日 , 5, 6月 2018 「スマートフォンゲーム等における収益認識基準に関するガイドライン」概略 はコメントを受け付けていません。

収益認識基準の公表を受けて、業種別のガイドラインが整備される動きがあります。ここでは一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が2018年5月28日に公表した「ガイドラインの作成に向けた検討の開始」を紹介します。(太字は投稿者、以下同じ)

スマートフォンゲーム等における収益認識基準に関するガイドラインの作成に向けて(PDF)

https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/05/mcf_release_20180529.pdf

同文書によれば、

今般、2018 年 3 月 30 日に、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」)より公表された企業会計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第 30 号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「収益認識基準」)に沿って、スマートフォンゲーム等における収益認識に関する業界ガイドラインの作成に向けた検討を開始しましたので、ご報告させていただきます。

スマートフォンゲームに特有な膨大なゲーム内アイテム等に関連する収益認識に関して、主要なパターンに応じたガイドラインを作成することで、会員企業の過度な負担となることなく、より適正な会計処理ができることを目指しております。(略)

当団体会員企業は、スマートフォン向けサービスを事業として提供しておりますが、特にスマートフォンゲームに関しては、収益認識の基礎となり得るゲーム内アイテム等が膨大に存在しており、個別に算定することは大変困難であるという問題があります。

とのことで、これまでに2回の意見提出と1回の意見交換を実施しています。

本文書で引用されている2回目の意見提出では、ビジネスモデルからスマホアプリ固有の課題について非常にわかりやすくまとめられているので是非一読をおすすめします。

収益認識に関する会計基準(案)への意見書 ※2回目

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20170720_CL015.pdf

結論としては「ゲームユーザーがアイテム等を購⼊した時点」を「一時点」と解して、そのタイミングで履行義務が果たされたものと考えると主張していますね。また「一定期間にわたり」履行義務が果たされると解釈した場合でも、以下の課題が残ります。

  1. ⾒積もりの合理性の判断
  2. 新規ゲームへの対応
  3. ゲーム性の違い
  4. ガチャから⽣まれる収益の繰延対象
  5. ゲーム終了時期の選択による業績への恣意性介在の余地
  6. 会社側の判断による業績影響の幅の⼤きさ
  7. 財務諸表利⽤者の利便性

これらのやりとりを受け、ASBJの公開草案へのコメントへの対応として以下の記述がありました。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/summary_20170720ed.pdf

(この資料の 24 ページ)

スマートフォンゲームにおけるゲーム内課金に係る収益認識については、収益認識会計基準第 38 項の要件に照らして、一時点で収益を認識すべきか、一定の期間にわたり収益を認識すべきかを判断する。仮に一定の期間にわたり収益を認識すべきと判断した場合には、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたって計上することとなる。

なお、上記の判断及び進捗度の適切な見積方法は、企業が提供するゲームの性質や、ゲームの中で使用されるアイテムの性質等を加味して決定されるべきものであり、企業やゲームによって、収益の認識時期は異なる可能性がある。そのため、単一の収益認識方法を会計基準の中で定めることは適切ではなく、各社が、自社が提供するゲームの実態を反映した適切な方法に基づき収益を認識すべきであると考えられる。

「一時点」の解釈には違和感がないので、この考え方を前提にガイドラインが公表されるのを待ちたいと思います。

 

特にIT企業向けに「収益認識基準はここだけ読んでおこう」というポイントをまとめました。以下リンクより無料で入手できますので、お気軽にお申込みください。

(クリックすると別サイトに移動します)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRwTakfmqf54-C6IJNHjC4oYmb5Hm_S3AA5xDmyQLYfcd1CQ/viewform?usp=sf_link

 

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e-Taxが改善されても電子申告は普及しないのか

月曜日 , 28, 5月 2018 e-Taxが改善されても電子申告は普及しないのか はコメントを受け付けていません。

e-Taxによる申告手続が、来年からより便利になるようです。

 

平成 31 年1月から e-Tax の利用手続が より便利になります – 国税庁

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/kojin_e-tax_riyou2.pdf

【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています

http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_290510_kanbenka.htm

具体的には、以下の方式のいずれかによる申告が可能になります。

  • マイナンバーカード方式
    • 従前 事前に税務署長に届出を提出。e-Tax用のID・パスワードを取得。申告時にID・パスワードを入力(ICカードリーダ/ライタが必要)
    • 今後 「事前に税務署長への届出」「e-Tax用のID・パスワードの取得」「申告時のID・パスワードの入力」を省略可能
  • ID・パスワード方式(マイナンバーカード及びICカードリーダ/ライタのない場合) ※新設
    • 厳格な本人確認(税務署における職員との対面など)のうえ、税務署でID・パスワードをその場で発行。申告時にID・パスワードを入力(ICカードリーダ/ライタ不要)

もっともID・パスワード方式はあくまで暫定対応のようで、原則はマイナンバーカード方式になります。

電子申告普及に向けて当局もがんばったと思いますが、多少なり注文をつけるならば以下のように考えます。

  • ICカードリーダ/ライタがネックになる点は変わらないので、マイナンバーカードと一緒にICカードリーダ/ライタを無償配付するぐらいにならないか
  • 税務署に行かないとID・パスワード発行されないのはハードル高いので、事前申込や発行も可にして税務署では本人確認のみにならないか

なにより、これだけマイナンバーカードが普及していない現状では上記の改善は限定的な効果しか見られないと思われます。これは税務当局の責任ではないかもしれませんが、マイナンバー通知カード「だけ」(本人確認手続が必要になりますが)で手続が進むように制度設計してしまい、そのように運用されているのがすべての失敗の原因と言えるでしょう。マイナンバーカードなしには手続が進まないぐらいに推進してもよかったように今にすると悔やまれます。ともあれ、電子申告が簡便な手続で完了する世の中になるのはまだまだ先のようです。

 

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株主総会資料の電子提供、道半ば

火曜日 , 22, 5月 2018 株主総会資料の電子提供、道半ば はコメントを受け付けていません。

経営財務No.3359の記事より。

法務省・法制審義会「「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(平成30年2月14日)の取りまとめ

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900348.html

この試案のなかで、株主総会資料を原則として書面で提供するルールが変更され、電子的に提供することが可能になっていくようです。

従前 原則として書面で提供、株主の個別承諾が必要

今後 ウェブサイトに掲載し、株主の個別承諾がなくても株主総会を適法に提供したものとする

上場企業には義務づけられるそうなので、決定すれば一気に普及することになりそうです。他方、ネットに接続できない環境にある株主に等しく提供するためには書面の提供は残ると思われますが、紙を前提とした制度が徐々にとはいえ変わっていく状況は歓迎したいところです。

また、招集通知の発送期限として

  • 【A案】 株主総会の日の4週間前まで
  • 【B案】 株主総会の日の3週間前まで
  • 【C案】 株主総会の日の2週間前まで

の3案が検討されており、今のところ現行に近いC案が有力とのことです。せっかく電子化されるのだから後ろ倒しにする案はないかとも思いますが、準備の期間を考えると2週間程度が現実的なのかもしれません。

 

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開示スケジュールは営業日ベースにできないか?

月曜日 , 14, 5月 2018 開示スケジュールは営業日ベースにできないか? はコメントを受け付けていません。

決算発表ピークの季節が到来しています。

取引所の規則としていわゆる「45日ルール」が定められていることで、3月決算の会社はゴールデンウィークは存在しないものとして休日返上で過ごすのが通例になってしまっています。監査する立場の監査法人もまた同様です。(関係者の皆様大変お疲れ様です)

決算短信・四半期決算短信等作成要領

https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/tvdivq000000up10.pdf

事業年度又は連結会計年度に係る決算については、遅くとも決算期末後45日(45日目が休日である場合は、翌営業日)以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当であり、決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましいものと考えられます。

ルールはこのとおりなのですが、素朴な疑問としてこの45日ルール、営業日ベースで考えるわけにはいかないのかと思います。たとえば今年(2018年)の場合計算してみると

  • 「30営業日」→5月16日(期末日から46日)
  • 「40営業日」→5月30日(期末日から60日)
  • 「45営業日」→6月6日(期末日から66日)

となります。さすがに開示まで年度末から2ヶ月以上空くのは迅速な開示とはいいがたく、有価証券報告書の開示タイミングとも近くて実務上も都合が悪そうなことはわかります。とはいえ、これだけ労働時間の削減が社会問題化しているなか、業務効率化だけで決算業務の集中時期を乗り切るのが困難なことは明らかです。たとえば「30営業日」を目安として、その範囲で作業が収まるように開示の量や質を削減するといった工夫が求められるのではないかと思います。開示の一元化や単体開示の省略といった合わせ技も有効です。(こちらはこちらで検討が進んでいますが)

45日ルールは長年にわたり取引所の決め事でして運用されているので実際に変えるのは難しいとは思いますが、つい所与の条件として受け入れてしまいがちですが、そもそもの話に立ち返って考えてみるのも大事かと思いあえて制約を外して考えてみました。

 

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「会社設立の高速化」よりも「事業開始の高速化」を

月曜日 , 7, 5月 2018 「会社設立の高速化」よりも「事業開始の高速化」を はコメントを受け付けていません。

会社設立のスピードが一気に速まりそうです。

会社設立「10日→1日」で可能に 簡素化で起業促す(要ログイン)

https://www.asahi.com/articles/ASL4Y52PXL4YULZU004.html

私も10年以上前に自分の会社を設立したときは定款認証のために公証人役場に出向きました。公証人が席を外しているときも、机の上に(捺印済みの)認証済み書類(A4一枚)が山積みだったことを鮮明に覚えております。書類を機械的に発行するだけの業務でなぜ公証人が常にいなければならないのか今もって理解できませんが、当時も今もそういった制度なのでしょう。

こういった行政手続が簡素化されてスピードアップが図られること自体はよいことでありますが、事業開始のフロー全体を見渡すとまだまだ一部分しか改善されていないなと思います。というのも、実際に会社が機能するためには

  • 税務署への届出(国税)
  • 自治体への届出(地方税)
  • 年金事務所や健保組合への届出(従業員を雇う場合)
  • 労働基準監督署への届出
  • 銀行口座の開設

と、設立以後も事務作業が山積みであり、これらを順調にクリアしてもだいたい一ヶ月ぐらいは煩雑な事務作業に追われるというのが現状かと思います。諸手続をワンストップで提供するサービスも出ていますが、どうしても行政ルールに引きずられるのでオンラインで完結というわけにはいきません。そういう意味では「設立手続の高速化」のみならず「事業開始の高速化」が求められているのではないでしょうか。

現在は法人番号の付与という形で行政側での一元管理が可能になったことですし、マイナンバーで名寄せもできます。これらの煩雑な手続のためにいちいち走り回らなくてすむ仕組みを一日も早く確立してもらいたいと思います。

 

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[収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定

火曜日 , 24, 4月 2018 [収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定 はコメントを受け付けていません。

新しい収益認識基準について。エントリの続きです。

包括的な収益認識の基準が導入されることにともない、ソフトウェアの会計処理や工事進行基準への影響があります。具体的には以下の基準等が廃止される予定です。

  • 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
  • 企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
  • 実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」

詳細については基準本文をご参照ください。

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の公表

基準38項の記述を引用します。(太字は筆者)

以下のいずれかを満たす場合、「一定の期間にわたり」履行義務を充足し収益を認識する。
1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
2. 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
3. 次の要件のいずれも満たすこと
(ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
(イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

具体的には、適用指針の[設例4][設例7][設例8]に解説があります。ここでは[設例7](コンサルティング・サービスを提供する契約)の記述を援用します。

  • A社(コンサルティング会社)からB社(ユーザー)に専門的意見を提供するサービスである
  • A社が契約を履行できない意外の理由で契約解除する場合は、発生費用に15%の利益を加算した金額をB社が補償する

[設例7]では、以下の判定基準により「一定の期間にわたり」履行義務を充足するものとしています。

  • 1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受するか

    A社が義務履行不能な場合、他のコンサルティング会社と契約しても仕掛中の便益を享受しない(それまでの作業を大幅にやり直すことになる)、ユーザーB社は専門的意見を受け取ったときしかA社の履行の便益を享受できないことから該当しない
  • 3. 次の要件のいずれも満たすか
    (ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
    (イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

    (ア)については、専門的意見形成が転用できない資産を生じさせないため該当しない
    (イ)については、履行を完了した部分について合理的な利益相当額を加えた対価を収受する強制力のある権利を有しているため該当する

いわゆる役務提供型のサービスについては、この38項の適用を検討するのが基本パターンということになりそうです。

 

IT企業向けに「収益認識基準はここだけ読んでおこう」というポイントをまとめました。以下リンクより無料で入手できますので、お気軽にお申込みください。

(別サイトに移動します)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRwTakfmqf54-C6IJNHjC4oYmb5Hm_S3AA5xDmyQLYfcd1CQ/viewform?usp=sf_link

 

※本エントリの記載内容は、作成日時点における法令・基準に基づくものです。記載内容に基づく構築・運用に際して当事務所は一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。