経営財務No.3359の記事より。

法務省・法制審義会「「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(平成30年2月14日)の取りまとめ

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900348.html

この試案のなかで、株主総会資料を原則として書面で提供するルールが変更され、電子的に提供することが可能になっていくようです。

従前 原則として書面で提供、株主の個別承諾が必要

今後 ウェブサイトに掲載し、株主の個別承諾がなくても株主総会を適法に提供したものとする

上場企業には義務づけられるそうなので、決定すれば一気に普及することになりそうです。他方、ネットに接続できない環境にある株主に等しく提供するためには書面の提供は残ると思われますが、紙を前提とした制度が徐々にとはいえ変わっていく状況は歓迎したいところです。

また、招集通知の発送期限として

  • 【A案】 株主総会の日の4週間前まで
  • 【B案】 株主総会の日の3週間前まで
  • 【C案】 株主総会の日の2週間前まで

の3案が検討されており、今のところ現行に近いC案が有力とのことです。せっかく電子化されるのだから後ろ倒しにする案はないかとも思いますが、準備の期間を考えると2週間程度が現実的なのかもしれません。

 

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決算発表ピークの季節が到来しています。

取引所の規則としていわゆる「45日ルール」が定められていることで、3月決算の会社はゴールデンウィークは存在しないものとして休日返上で過ごすのが通例になってしまっています。監査する立場の監査法人もまた同様です。(関係者の皆様大変お疲れ様です)

決算短信・四半期決算短信等作成要領

https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/tvdivq000000up10.pdf

事業年度又は連結会計年度に係る決算については、遅くとも決算期末後45日(45日目が休日である場合は、翌営業日)以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当であり、決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましいものと考えられます。

ルールはこのとおりなのですが、素朴な疑問としてこの45日ルール、営業日ベースで考えるわけにはいかないのかと思います。たとえば今年(2018年)の場合計算してみると

  • 「30営業日」→5月16日(期末日から46日)
  • 「40営業日」→5月30日(期末日から60日)
  • 「45営業日」→6月6日(期末日から66日)

となります。さすがに開示まで年度末から2ヶ月以上空くのは迅速な開示とはいいがたく、有価証券報告書の開示タイミングとも近くて実務上も都合が悪そうなことはわかります。とはいえ、これだけ労働時間の削減が社会問題化しているなか、業務効率化だけで決算業務の集中時期を乗り切るのが困難なことは明らかです。たとえば「30営業日」を目安として、その範囲で作業が収まるように開示の量や質を削減するといった工夫が求められるのではないかと思います。開示の一元化や単体開示の省略といった合わせ技も有効です。(こちらはこちらで検討が進んでいますが)

45日ルールは長年にわたり取引所の決め事でして運用されているので実際に変えるのは難しいとは思いますが、つい所与の条件として受け入れてしまいがちですが、そもそもの話に立ち返って考えてみるのも大事かと思いあえて制約を外して考えてみました。

 

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「会社設立の高速化」よりも「事業開始の高速化」を

月曜日 , 7, 5月 2018 「会社設立の高速化」よりも「事業開始の高速化」を はコメントを受け付けていません。

会社設立のスピードが一気に速まりそうです。

会社設立「10日→1日」で可能に 簡素化で起業促す(要ログイン)

https://www.asahi.com/articles/ASL4Y52PXL4YULZU004.html

私も10年以上前に自分の会社を設立したときは定款認証のために公証人役場に出向きました。公証人が席を外しているときも、机の上に(捺印済みの)認証済み書類(A4一枚)が山積みだったことを鮮明に覚えております。書類を機械的に発行するだけの業務でなぜ公証人が常にいなければならないのか今もって理解できませんが、当時も今もそういった制度なのでしょう。

こういった行政手続が簡素化されてスピードアップが図られること自体はよいことでありますが、事業開始のフロー全体を見渡すとまだまだ一部分しか改善されていないなと思います。というのも、実際に会社が機能するためには

  • 税務署への届出(国税)
  • 自治体への届出(地方税)
  • 年金事務所や健保組合への届出(従業員を雇う場合)
  • 労働基準監督署への届出
  • 銀行口座の開設

と、設立以後も事務作業が山積みであり、これらを順調にクリアしてもだいたい一ヶ月ぐらいは煩雑な事務作業に追われるというのが現状かと思います。諸手続をワンストップで提供するサービスも出ていますが、どうしても行政ルールに引きずられるのでオンラインで完結というわけにはいきません。そういう意味では「設立手続の高速化」のみならず「事業開始の高速化」が求められているのではないでしょうか。

現在は法人番号の付与という形で行政側での一元管理が可能になったことですし、マイナンバーで名寄せもできます。これらの煩雑な手続のためにいちいち走り回らなくてすむ仕組みを一日も早く確立してもらいたいと思います。

 

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[収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定

火曜日 , 24, 4月 2018 [収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定 はコメントを受け付けていません。

新しい収益認識基準について。エントリの続きです。

包括的な収益認識の基準が導入されることにともない、ソフトウェアの会計処理や工事進行基準への影響があります。具体的には以下の基準等が廃止される予定です。

  • 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
  • 企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
  • 実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」

詳細については基準本文をご参照ください。

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の公表

基準38項の記述を引用します。(太字は筆者)

以下のいずれかを満たす場合、「一定の期間にわたり」履行義務を充足し収益を認識する。
1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
2. 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
3. 次の要件のいずれも満たすこと
(ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
(イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

具体的には、適用指針の[設例4][設例7][設例8]に解説があります。ここでは[設例7](コンサルティング・サービスを提供する契約)の記述を援用します。

  • A社(コンサルティング会社)からB社(ユーザー)に専門的意見を提供するサービスである
  • A社が契約を履行できない意外の理由で契約解除する場合は、発生費用に15%の利益を加算した金額をB社が補償する

[設例7]では、以下の判定基準により「一定の期間にわたり」履行義務を充足するものとしています。

  • 1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受するか

    A社が義務履行不能な場合、他のコンサルティング会社と契約しても仕掛中の便益を享受しない(それまでの作業を大幅にやり直すことになる)、ユーザーB社は専門的意見を受け取ったときしかA社の履行の便益を享受できないことから該当しない
  • 3. 次の要件のいずれも満たすか
    (ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
    (イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

    (ア)については、専門的意見形成が転用できない資産を生じさせないため該当しない
    (イ)については、履行を完了した部分について合理的な利益相当額を加えた対価を収受する強制力のある権利を有しているため該当する

いわゆる役務提供型のサービスについては、この38項の適用を検討するのが基本パターンということになりそうです。

 

IT企業向けに「収益認識基準はここだけ読んでおこう」というポイントをまとめました。以下リンクより無料で入手できますので、お気軽にお申込みください。

(別サイトに移動します)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRwTakfmqf54-C6IJNHjC4oYmb5Hm_S3AA5xDmyQLYfcd1CQ/viewform?usp=sf_link

 

※本エントリの記載内容は、作成日時点における法令・基準に基づくものです。記載内容に基づく構築・運用に際して当事務所は一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。

監査・保証実務委員会研究報告第32号「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」

火曜日 , 17, 4月 2018 監査・保証実務委員会研究報告第32号「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」 はコメントを受け付けていません。

日本公認会計士協会より、以下の文書が2018年4月6日に公表されました。

プレスリリース「「監査・保証実務委員会研究報告第32号「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」」の公表について」及びプレスリリース「「社員ローテーションに関するアンケート調査結果(中間報告)」の公表について」

https://jicpa.or.jp/news/information/2018/20180406iii.html

内部統制報告制度の開始から10年を経過した現段階において

近年の内部統制報告書における開示すべき重要な不備の事例分析を糸口に、内部統制報告制度の運用状況に関する留意点を抽出し、そこから内部統制報告制度の実効性を確保するための提言を試みる

という趣旨の文書で、60ページにわたります。特に興味深い記述は

3.新興企業における内部統制
4.ITの利用及び統制

の2箇所で、それぞれのサマリーは以下のとおりです。

新興企業における内部統制

  • 全社的な内部統制の不備事例(カッコ内は是正措置)
    • 取締役会の機能不全(コーポレート・ガバナンスの強化)
    • 役員及び従業員のコンプライアンス意識の欠如(意識向上を図る施策)
    • 内部監査の機能不全(内部通報制度や内部監査の導入・強化、職務分掌の徹底)
  • 業務プロセス及び決算・財務報告プロセスの不備事例
    • 業務プロセス(作成証憑の明確化、社内規程の整備)
    • 管理部門における業務体制の不十分さ(管理部門の人員増員、二重チェック体制)
    • ITシステムに係るリスク認識の欠如(承認権限者の限定、パスワード設定及び管理を本人に限定)

特に「コーポレート・ガバナンスの強化」の観点では、以下のリスクがあります。

社歴が浅い企業や社長が創業者であり筆頭株主である企業においては非常に重要なことであるが、取締役・監査役の選任は社長による人選を反映したものとならざるを得ない環境にあるので、社長のガバナンス意識に大きく左右されてしまう。

ITの利用及び統制

  • ITの利用及び統制の不備例(カッコ内は是正措置)
    • 不適切なデータ入力やデータ改竄(適切な権限管理、システム利用状況についての定期的な評価、スプレッドシートの統制リスク評価)
    • 処理ロジックの誤り(適切な移行の実施や障害対応など全般統制の有効性に留意、パラメータ値の脆弱性に留意)

文書の大半は監査人向けの記述ですが、作成者(会社側)にとっても示唆に富んでいますので、ぜひ一読いただければと思います。

 

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[書籍]信用の新世紀(ブロックチェーン後の未来)

木曜日 , 12, 4月 2018 [書籍]信用の新世紀(ブロックチェーン後の未来) はコメントを受け付けていません。

ブロックチェーンをとりまく状況について、多くの刺激を受ける一冊でした。

本書の構成は冒頭の未来SF風ストーリーをきっかけとして、近い未来に訪れる「貨幣経済の衰退」「専門分化の衰退」「国家の衰退」の可能性を分析しています。

【目次】
プロローグ――貨幣経済は衰退しました
第1章 ブロックチェーンって何だ?
注目されるブロックチェーン
ブロックチェーンとブラウン管は似ている?
「証明」の手段としての新聞――すべてはタイムズ紙の見出しから始まった
ビットコインの「問い」と「補題」 ほか
第2章「信用」の歴史――口約束から契約へ、契約からコードへ
心の理論
原始の約束
全体主義的農耕の始まり
職業人という名の奴隷 ほか
第3章「信用」と「裏切り」――ビザンチン将軍問題をめぐって
ビザンチン将軍問題の背景
ビザンチン将軍問題とはどんな問題か
ビザンチン将軍問題を解く ─ 司令、攻撃やめるってよ ほか
第4章 ブロックチェーンの可能性と不可能性
応用可能性が花開いた
続々と行われる実証実験――醒める狂騒
人類史に残る新しい会社の出現
地球規模オペレーティングシステム ほか
第5章「信用」の新世紀 ─ 社会はどこに向かっていくのか
「貨幣経済は衰退しました」のリアリティ
貨幣と会計の変化
「貨幣」と「専門分化」と「国家」が三つ巴で衰退する
限界費用ゼロかつ専門未分化社会の衝撃 ほか
エピローグ――フレンズ

特に「貨幣経済の衰退」の可能性はにわかにイメージしがたいところですが、著者の主張としては「物質・エネルギー」と「知識」を変数として富を最大化することができるという点にあり、これを社会インフラとして今後どのように実現していくか(実現しようとしているか)、そこにブロックチェーン技術がどのように使われていくのかという未来予測は非常に興味深いです。ビットコインの普及はそのような時代のスタート地点に過ぎないのかもしれません。

そのような時代になったときに「会計」の機能がどのように位置づけられるかについて、著者はこのように主張します。

旧来のアカウンティングが、企業の事業活動を定量的にモデル化した情報を提供、あるいは分析するためのプロセスだったとするならば、これからのそれは、地球規模OS上のアプリケーションの動作状況を定量的にモデル化し、その情報提供と分析とにより社会にフィードバックをかけるプロセスであると言えるだろう。

しかし、そうした活動の様子は、どのように定量化できるのだろうか。 問題を、私たちの社会の「富」の量や質がどのように推移しているのかを定量的に把握することだと置き換えて考えれば、すでにフラーによる富の定義によって道は示されている。すなわち、「物質・エネルギー」および「知識」を定量化し、その推移を追跡・分析するのである。それが未来の新しいアカウンティングの姿だろう。

斉藤賢爾.信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来(NextPublishing)(Kindleの位置No.2048-2055).インプレスR&D.Kindle版

500年続いた会計機能の位置づけが大きく転換期を迎えるのかもしれないと思うとわくわくします。本書で随所に参照されていた「負債論」もだいぶ昔に購入して積読状態ですが、がんばって読んでみたいと思います。

 

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[IFRS]NTTグループ4社が任意適用を開始

火曜日 , 10, 4月 2018 [IFRS]NTTグループ4社が任意適用を開始 はコメントを受け付けていません。

いよいよ本丸が来たという感じでしょうか。ほぼ同じタイミングでIFRS任意適用のリリースが出てきました。

 

日本電信電話(NTT持株会社) 米国基準→IFRS

NTTドコモ 米国基準→IFRS

エヌ・ティ・ティ・データ 日本基準→IFRS

エヌ・ティ・ティ都市開発 日本基準→IFRS

 

各社ニュースリリース

http://www.ntt.co.jp/news2018/1803/180329a.html

https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/03/29_01.html

http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/032901.html

https://www.nttud.co.jp/ir/news/n22657.html

 

NTTデータグループはIFRS導入支援サービスを長きにわたって提供してますが、範を垂れる意味も込めて自社でも準備していたということでしょうか。かつての古巣(グループ会社ですが)にいた身としては感慨深いものがあります。どうでもいいですが会社名表記は「エヌ・ティ・ティ・データ」が正しいことを中の人になるまで知らなかったことを念のため申し添えます。ドコモのほうは「NTT」表記なので統一性がありませんが、いろいろ内部でのせめぎ合いの結果なのでしょう。

ともあれ、名だたる大企業が任意適用に踏み出すことで、強制適用を待たずしてIFRS適用の地ならしが一気に進むのではないかと思われます。すでに170社を超えた実績がありますし、日本もようやくですが国際化・標準化の流れに追いつきつつあるといえるのではないでしょうか。

 

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国税庁ウェブサイトのリニューアルが混乱した原因は?

木曜日 , 5, 4月 2018 国税庁ウェブサイトのリニューアルが混乱した原因は? はコメントを受け付けていません。

国税庁のウェブサイトが2018年3月31日にリニューアルされましたが、うまく機能していないようです。

国税庁Webサイト、全URL変更で混乱 サイト内検索も役立たず、「無限ループ」状態にhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/02/news108.html

国税庁ホームページリニューアルのお知らせ

https://www.nta.go.jp/information/other/data/h29/renewal/index.htm

新しい ウェブ サイトでは右上の検索窓でキーワード入力して検索できる仕組みになっているものの、すべての検索結果のページが数秒後にトップページにリダイレクトされてしまい、必要な情報が掲載されているページにたどり着くことができず、またこれまでブックマークしていたページも辿ることができないという状態に陥りました。国税庁により検索結果の蓄積が行われるまで数週間の猶予が必要な旨がアナウンスされる一方、有志により新旧URLの変換サービスが提供されるなど、混乱が続いています。

サイト内検索について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/renewal/index.htm

「国税庁URL変換器」個人が開発 旧URLから新ページにアクセス リニューアルの混乱受け(IT media)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/03/news075.html

ちなみに、日本公認会計士協会のウェブサイトも2018年4月1日にリニューアルされていますが、こちらも旧URLが切れてしまっているなど適切な移行が行われていないようです。

「日本公認会計士協会ウェブサイトをリニューアルいたしました(日本公認会計士協会)」 (会計ニュース・コレクター)

http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/12108.html

今回のような問題が起きた原因として、大きく二つが考えられます。

まず、 発注側が構築側である開発ベンダーにシステム機能仕様を正しく伝えていたかどうかという問題。入札案件ですので仕様書は作成されているものの、プロジェクト開始後の要件定義の過程で細かな機能の確認がなされず、このような実装になったことが推測されます。

次に、テストの時(特に受入テストの時)に正しく機能が検証されていたかという問題。仕様に反映されていなければ検証のしようがないですが、仮に仕様に反映されていたとしても、今回のように検索結果の画面遷移が正しく行われるかどうかを含めてテストケースが必要十分な品質で作成されていたかは疑問が残ります。クローリングに一定の時間がかかるのであればその時間を見込んでテスト期間を設定すべきところですが、そのようなスケジュールが組まれていなかった可能性があります。

いずれにしても、システム導入プロジェクトのどこかで、発注側又は構築側のどちらかの手続に不備があったため期待された品質を満たさなかったのではないかと想像されます。

このような状況に陥らないためにどのような対策を打てば良いのでしょうか?

一つは発注側が(特に要件定義フェーズにおいて)正しく仕様を表現して構築側に伝えること。二つは、構築側が仕様書に表現しきれていない細かな機能品質について、発注側と連携して細かく協議を行って仕様の漏れを防ぐことでしょう。

また、今回のような状況を生んでしまった背景として、国税庁や日本公認会計士協会のような「情報を蓄積すること」がウェブサイトの価値であるということが正しく認識されていなかったのではないかという懸念があります。公認会計士や税理士といった会計専門家に限らず、ウェブサイトに記載されている様々なリファレンス情報は納税者を始めとした多くの利用者に情報提供することが一つの目的としてあるはずですが、必要な情報資源にアクセスできないような状況を生んでしまうということはそのような自らの役割を軽視している部分が少なからずあるのではないかと想像しております。事態が早々に収束することを見守りたいと思います。

 

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【書籍】M&A会計の実務 一枚の絵でコンセプトを表現するパワー

木曜日 , 5, 4月 2018 【書籍】M&A会計の実務 一枚の絵でコンセプトを表現するパワー はコメントを受け付けていません。

竹村純也先生の新刊です。

企業結合関連の会計基準はとにかく膨大で複雑な印象があって苦手なんどえすが、書影にもある著者のオリジナル「パーチェス・ジャーニー」という一枚の絵がとにかく理解を助けてくれます。本書の構成もこの「パーチェス・ジャーニー」に基づいており、わずか一枚の絵で本書のコンセプトをほぼ完璧に網羅しているのは感嘆しました。

本書の「あとがき」によれば、本書執筆にあたり留意された点は

  1. M&A会計に特化していること
  2. 実務に照らした内容であること
  3. 基礎的な論点を押さえていること

とのこと。特に第5章の「「何を」取得したか(株式の一部を現金購入するM&A編)」では、間違えやすい会計上の論点がすっきりまとまっており、頭の整理が進みます。設例もふんだんに用意されていておすすめの一冊です。

 

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「収益認識に関する会計基準」のIT企業への影響とは

火曜日 , 3, 4月 2018 「収益認識に関する会計基準」のIT企業への影響とは はコメントを受け付けていません。

企業会計基準委員会より、以下の文書が2018年3月30日に公表されました。

  • 企業会計基準29号「収益認識に関する会計基準」
  • 企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の公表

いわゆるIFRS15号(顧客との契約から生じる収益)や、Topic 606(Revenue From Contracts With Customers)に対応する形で、我が国の収益認識基準の改訂が行われた形になります。

本基準の適用タイミングは以下のとおりで、最速では2018年12月31日を決算日とする企業で適用することができます。

  • 原則 2021(平成33) 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から
  • 早期適用 2018(平成30) 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から
  • 2018(平成30) 年12 月31 日に終了する連結会計年度及び事業年度から2019(平成31) 年3 月30 日に終了する連結会計年度及び事業年度までにおける年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から

適用初年度にあたっては以下のいずれかの取扱いになるため、業務への影響が大きくなります。

  • 原則的な取扱い 過去の期間のすべてに遡及適用する
  • 適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用する

この基準が適用されることにより、以下の基準は廃止される予定です。

  • 企業会計基準第15 号「工事契約に関する会計基準」
  • 企業会計基準適用指針第18 号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
  • 実務対応報告第17 号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い

収益認識の包括的な基準が策定されることで、いわゆる工事進行基準が廃止されることになります。役務提供型で収益認識するビジネスモデルの企業(システムインテグレーター、ソフトウェアベンダー、コンサルティング会社など)には影響が大きいものと予想されます。

収益認識基準は分量がとにかく膨大なので、ポイントを絞り込んで読み解く必要があります。当事務所では特にIT企業向けに「収益認識基準はここだけ読んでおこう」というポイントをまとめました。以下リンクより無料で入手できますので、お気軽にお申込みください。

(別サイトに移動します)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRwTakfmqf54-C6IJNHjC4oYmb5Hm_S3AA5xDmyQLYfcd1CQ/viewform?usp=sf_link