[書籍]「チェックリストでリスクが見える内部統制構築ガイド」

日曜日 , 19, 11月 2023 [書籍]「チェックリストでリスクが見える内部統制構築ガイド」 はコメントを受け付けていません

話題の新刊なので早速手を伸ばしてみました。

(オビより)

項目別のチェックリストを使って、個別かつ網羅的にリスクと対策を解説。監査法人・大手総合商社で培ったノウハウをまとめた1冊。改正内部統制基準等もフォロー。

2023年4月の内部統制実施基準の改正を踏まえ、実務視点での内部統制構築方法について書かれています。豊富なチェックリストと合わせ、Excelファイルのチェックリストをダウンロード可能です。(サンプル版は無料で完全版は有料)

JSOXの最新動向をコンパクトに把握しつつ、実務的なリストを利用したい読者向けには有用な一冊といえます。


第I部 内部統制の構築・運用に向けた基礎知識

「内部統制はなぜ必要か」「内部統制の構築に向けた基礎知識」など、基本的な知識確認のためのパート。基本知識があれば改正点をかいつまんで押さえれば十分だと思われます。

第II部 項目別チェックリスト

本書のメインパート。実務上リスクが高いとされる主要な内部統制項目ごとに「主要なリスク」「対策」「サンプル帳票」が紹介されています。本書で言及される項目は以下のとおりです。職掌柄IT統制のパートを時間をかけて読んでしまいますが、必要最小限のレベルは網羅しているように読めました。

  • 全般的管理
  • 現預金管理
  • 小切手管理
  • 売上債権管理
  • 仕入債務管理
  • 棚卸資産管理
  • 固定資産管理
  • 有価証券管理
  • 経費管理
  • 契約管理
  • IT統制
  • その他の内部統制

本書の読後感は以下のとおりでした。どうしてもIT統制がらみは辛口になってしまいます。これから内部統制評価を始めるときにリスクを特定する段階で迷っている読者には向いていると思いました。

よかった点

  • IT統制の改正にも踏み込んで、比較的歴史の浅いトピックにも触れている(パスワードの定期変更やパスワード長など)
  • Excelファイルのチェックリストが充実。本書の記載内容をほぼすべてカバーしている
  • チェックリストが日英表記のため、海外グループ会社対応にも役立ちそう

残念だった点

  • 文章で一気に説明するため読みにくいところがある、略称の説明が唐突に使われる(前半に顕著だった)
  • 帳票の紹介が書面を基本にしたものがほとんどで、ワークフローを前提とした記述が全体的に少ない
  • SaaS以外のクラウドサービスについてほとんど言及がない(財務報告目的と割り切ればこれはこれでありか)
  • 電子署名やシステム承認を前提としたフローや統制についての記述がほとんどない(これは入れてほしかった)
  • 統制項目ごとの評価プロセスや評価方法には触れていない(類書が多いのでそこは不要と割り切ったのかも)

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[書籍]「Pythonではじめる 会計データサイエンス」データサイエンス視点とテクニックを身に着けたい会計人必読の書

土曜日 , 27, 5月 2023 [書籍]「Pythonではじめる 会計データサイエンス」データサイエンス視点とテクニックを身に着けたい会計人必読の書 はコメントを受け付けていません

会計データサイエンティストを目指す方の必読書が出ました。

雑誌『企業会計』連載時にも興味深く読んでいましたが、今回書籍になることでまとめて読めるのはありがたいです。書籍になると読後感がまた違いました。

本書は冒頭で対象読者ペルソナが明記されてるので、ご自身が向いている読者層かあらかじめ確認する目安になるでしょう。個人的には「中規模から大規模組織の経理部門所属」がターゲットに思えました。サンプルコードもついている親切設計なので、実際に手を動かしてみるのが肝要です。

以下、各章について読後の感想です。

第1部『会計データサイエンスの基礎知識』では、初学者向けにデータサイエンスの基礎知識を解説しています。

第1章 会計データサイエンスの準備体操

第2章 Python入門

では、データサイエンス初学者向けにPythonやNumPyの基礎解説があり、予備知識のない読者でもは入りやすくなっています。Google Colaboratoryのインストールから解説しているのはわかりやすいですね。NumPyやpandasの機能解説については既知の読者は読み飛ばしてよいですが、おさらいに読むのがよいでしょう。

第3章 数学入門

データサイエンスには不可欠の知識なので、この章を読んで眠くなるのでは始まらないです。頑張って読み切りましょう。

第2部『会計データサイエンスの実践』では、いくつかの実務的なユースケースをもとに、動作するPythonコードを用いての解説が続きます。

第4章 監査で使われる統計的サンプリングツールを実装しよう

第5章 会計データの特徴を理解して将来の売上を予測しよう

こちらの章は個人的に一番楽しく読みすすめられました。帰無仮説をはじめとする統計的サンプリングの解説を、コードまで落とし込んで解説した画期的なパートだと思います。季節変動のある売上データに基づく将来売上予測、というわかりやすいユースケースから、SARUMAモデルによる予測を解説。こちらも動作するコードで解説をわかりやすく表現していて、概念的な解説をより腹落ちしやすく伝える工夫が随所に見られました。

なお、統計的サンプリングについては発行年月は古いですがこちらの良書があるので、併せて参照するのがよいでしょう。

第6章 会計データを使って機械学習に挑戦しよう

会計データを使った機械学習への挑戦。機械学習の基本解説から、よりリアルなケースとしてたこ焼き屋の会計帳簿をもとにさまざまな分析からはじまり、決定木による顧客行動の分析やSVMによる掛け売り予測と資金繰り対応という実践的なテーマで分析を試みます。ここでも概念的な説明から実際のコードに落とし込むことで理解が容易な説明になっています。

第7章 会計データの異常検知をしよう

異常検知の問題設定にはじまり、正規分布に基づく異常値分析の解説です。この章で難易度が一気に上がりますが、会計監査の実務ではお馴染みのトピックを取り上げているので読み切りたいところです。深層学習の話題にも少し触れているのが興味深いですね。

第8章 データサイエンスを意思決定に活用しよう

ベイズ統計モデルによる不確実性モデリングや、自己回帰モデルによる在庫予測の解決、ロジスティック回帰モデルによる貸倒予測、生存時間モデルによる将来キャッシュフローの予測など、実践的な意思決定に用いるためのデータ分析がとりあげられています。サブスクリプション事業ではおなじみの離脱予測などのユースケースがあるので、SaaS企業の参考にもなるでしょう。こちらもコード盛りだくさんで消化不良になりそうですが、実際に動作させながら確認していくと面白さを味わえます。

第9章 データ分析基盤を構築しよう

会計データの特徴に始まり、効果的なデータ分析基盤の構築指針について解説しています。永遠のテーマではありますが、『データを何のために使うか』という根本的な問いかけは、データサイエンスに欠くことのできないものです。こちらも丁寧な解説が行われています。

参考文献それぞれに一言コメントがあるのがよいですが、章によってなかったりとばらつきがあるのは少し残念でした。複数著者だと符丁を合わせるのが難しいですね。

全体的に、会計データサイエンスの視点を掘り下げつつ実践的に理解したい方には格好の入門書だと思いますので強くおすすめいたします。本書はPythonやデータ分析の入門向けなので、より突っ込んだ深層学習や昨今のトレンドである生成AIにからめた解説触れていない点については、今後の続編に期待したいと思います。

なお、オビ部分にちょっとした遊び心があるので、実際に手に取って確かめてみましょう。

【セミナー】サステナビリティ開示とサイバーセキュリティ 2023/05/18

月曜日 , 22, 5月 2023 【セミナー】サステナビリティ開示とサイバーセキュリティ 2023/05/18 はコメントを受け付けていません

DNPエグゼクティブセミナーにて、サステナビリティ開示とサイバーセキュリティについて登壇いたしました。当日のセミナー資料をアップロードしましたので、ご笑覧ください。

タイトル:
DNPエグゼクティブセミナー

サステナビリティ開示とサイバーセキュリティ~いまから考えるべきこと~

日時:

2023年05月18日

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[専門情報]経営研究調査会研究報告第70号「スタートアップ企業の価値評価実務」の公表

木曜日 , 6, 4月 2023 [専門情報]経営研究調査会研究報告第70号「スタートアップ企業の価値評価実務」の公表 はコメントを受け付けていません

日本公認会計士協会より、2023/04/04に以下文書が公表されました。

経営研究調査会研究報告第70号「スタートアップ企業の価値評価実務」の公表について

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20230404fbe.html

本文書の目次は以下のとおりです。

Ⅰ スタートアップ企業の動向と各種団体の対応
Ⅱ スタートアップ企業の価値評価の動向
Ⅲ スタートアップ企業の価値評価上の特徴と留意点
Ⅳ スタートアップ企業の株主価値評価
Ⅴ スタートアップ企業が種類株式を発行する場合の株式価値評価
Ⅵ スタートアップ企業の評価例
Ⅶ スタートアップ企業の価値評価を会計目的で実施する場合の留意点
Ⅷ 進化するスタートアップ企業の資金調達と評価上の対応
Ⅸ スタートアップ企業の価値評価を巡る課題と留意点
Ⅹ 価値評価業務の参考となる文献と用語集

「Ⅴ スタートアップ企業が種類株式を発行する場合の株式価値評価」「Ⅵ スタートアップ企業の評価例」には、事業計画とFCFのモデルケースによる株式価値評価の記載があります。このフェーズの株式価値評価のプロセスをコンパクトにまとめた資料として、一読をお勧めします。

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[記事掲載]Tech Target Japanに『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』第4回が掲載されました

水曜日 , 29, 3月 2023 [記事掲載]Tech Target Japanに『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』第4回が掲載されました はコメントを受け付けていません

Webメディア「Tech Target Japan」に連載記事
『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』
第4回の記事が掲載されました。会員限定コンテンツですが、無料登録すると最後まで読めます。

電子帳簿保存法改正の解説で、5回シリーズになります。

今回は電子取引データの該当性について解説しております。お手すきのときにご笑覧ください。


「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用【第4回】

これは「電子取引」に該当する? 4つの“ありがちなケース”で解説

https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2301/16/news01.html

第1回:2022年改正電子帳簿保存法を改正前と比較、「4つの変化」とインパクト
第2回:どれが「電子取引」? 電子帳簿保存法改正の意外な落とし穴
第3回:始める前に要チェック 違法にならない「電子取引データの保存環境」とは

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[記事掲載]Tech Target Japanに『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』第3回が掲載されました

木曜日 , 2, 2月 2023 [記事掲載]Tech Target Japanに『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』第3回が掲載されました はコメントを受け付けていません

Webメディア「Tech Target Japan」に連載記事
『「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用』
第3回の記事が掲載されました。会員限定コンテンツですが、無料登録すると最後まで読めます。

電子帳簿保存法改正の解説で、5回シリーズになります。今回は電子取引データの保存環境要件について解説しております。お手すきのときにご笑覧ください。


「電子取引データ保存の義務化」に向けた準備と運用【第3回】

始める前に要チェック 違法にならない「電子取引データの保存環境」とは

https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2212/09/news15.html

第1回:2022年改正電子帳簿保存法を改正前と比較、「4つの変化」とインパクト
第2回:どれが「電子取引」? 電子帳簿保存法改正の意外な落とし穴

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新年のご挨拶 2023年

日曜日 , 1, 1月 2023 新年のご挨拶 2023年 はコメントを受け付けていません

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2022年も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響は収束することなく、引き続き試練の多い年となりました。従来どおりの感染対策を継続しつつ、社会経済を維持していくストレスとしばらく付き合っていくことになりそうです。

テレワーク(リモートワーク)スタイルと出社スタイルの共存が模索されるなか、生産性を維持しつつ働きやすい環境作りが追求されてきた一年と感じます。われわれの社会は今後どのような方向を目指して進んでいくのでしょうか。

2022年に上梓した拙著「経理のテレワーク 第2版」では、財務経理業務におけるテレワークの方向性について、私なりに展望を述べておりますのでご笑覧いただければ幸いです。

2023年は先行きに不安を抱えつつも、新たな挑戦を積極的に行い、実績を挙げ、成長を求めていきたいと思います。弊事務所は引き続きお客様の成長に寄り添いつつ、その成長に向けてさまざまな施策を講じます。個人としても、引き続きスキル向上に精進する所存です。

メンバー一丸となって本年も邁進して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

クレタ・アソシエイツ 原幹公認会計士事務所 代表

公認会計士・税理士・公認情報システム監査人(CISA)・公認不正検査士(CFE)

原 幹

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税務Googleカレンダーを更新しました(2023年)

月曜日 , 26, 12月 2022 税務Googleカレンダーを更新しました(2023年) はコメントを受け付けていません

2023年(令和05年)12月までの税務カレンダー(Googleカレンダー形式)を更新しましたのでお知らせします。

PC/スマホ/タブレット等でご利用ください。更新内容は以下のとおりです。

  • 2023年1月-12月の項目を追加

基本的に毎年同じイベントですが、休日による変動を調整しています。

表示イメージは以下のとおりです。項目をクリックすると詳細が表示されます。カレンダー右下の「+」ボタンを押して、ご自分のカレンダーに追加することもできます。ご利用は自己責任にてお願いいたします。

URLはこちら(うまく表示できない場合はブラウザでコピー&ペーストしてください)

https://calendar.google.com/calendar/embed?src=harakancpa.com_2qhjtrecvq75rb5rjed2nlfnfo%40group.calendar.google.com&ctz=Asia%2FTokyo

(Google Chromeを推奨。環境によっては見えないことがあります)

https://calendar.google.com/calendar/embed?src=harakancpa.com_2qhjtrecvq75rb5rjed2nlfnfo%40group.calendar.google.com&ctz=Asia%2FTokyo

2022年は政情不安や為替不安定など不安定が続く一年でした。2023年は改正電子帳簿保存法やインボイス制度の本格的な施行に向けて、企業の対応に追われる日々は続くものと予想されます。経理・財務・税務領域のデジタル化・デジタルを前提とした仕事を再設計するニーズを満たせるように、当事務所はバックオフィスの効率化を志向するお客様をこれまでどおりに引き続きご支援して参ります。

以上、本年最後の投稿になります。

2022年もお世話になりました。来年も良い一年でありますように。

当事務所へのお問い合わせはこちらまで。カレンダーへのご要望もお待ちしております。

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マイナンバーカード義務化より法人管理番号を統一するのが先なのではという話

火曜日 , 25, 10月 2022 マイナンバーカード義務化より法人管理番号を統一するのが先なのではという話 はコメントを受け付けていません

(雑談です)

マイナンバーカードの義務化に関する議論が盛んなようです。マイナンバーカードに免許証機能を付加するとか、保険証機能をマイナンバーカードに付与するとか、そして保険証は廃止するとか、マイナンバーカード持ってない人には代替策講じますとか、代替策は保険証を有料化することですかとか、なにを隠そう保険証はこのままでいいですとか、一周回ってワンと鳴きたいのかとか思ってしまいます。

個人的には行政手続きに使うために個人を特定する番号があるほうが合理的だと考えますが、カードは別にいらなくて希望者のみスマートフォンに電子証明書情報を発行すれば終わりでしょうし、カードは希望者に発行すればすむ話だし、あえてカードの義務化にこだわる理由はなんなのでしょうね。ともあれ、マイナンバーカードの利便性がアピールできないまま普及を強引に進めても反感を受けるだけでしょうから、上手くいく気がまったくしません。

それよりも、法人を一意に特定する番号が乱立している現状はなんとかならないものでしょうか。税務の実務で使われる番号だけでも

  • 法人番号(法人を特定する番号)
  • 利用者識別番号(国税電子申告で使う番号)
  • 利用者ID(地方税電子申告で使う番号)
  • 管理番号(税務署ごとに使う番号)

と4つもあるため、どれが何というのがときどきわからなくなりますしなんだったら常にわかりませんしわかろうという気がもはやありません。このぐらいは役所で横串に統一して管理してほしいところですが、縦割り行政がそうさせないのでしょう。かれこれ20年近く実務に携わっていて、このあたりの仕組みが一歩も前進しないのはまことお見事としか言いようがありません(褒めてない)。そして今日もぶつぶつ言いながらこれらの番号をちまちま手入力していて、日本のDXってなんだっけと思うこの頃です。

あと、えるたっくすは(以下自粛)


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【セミナー】経理DXの時代に税理士はどう向き合うのか 2022/10/14

水曜日 , 5, 10月 2022 【セミナー】経理DXの時代に税理士はどう向き合うのか 2022/10/14 はコメントを受け付けていません

関東甲信税理士会 浦和支部の例会にて、経理DXと税理士(事務所)の今後についてお話いたしました。同業の皆様の前でお話するのは少々緊張しましたが、なんとか無事に終えることができました。

セミナー登壇資料をアップロードしましたので、ご笑覧ください。

タイトル:
経理DXの時代に税理士はどう向き合うのか

日時:

2022年10月04日

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