収益認識基準の公表を受けて、業種別のガイドラインが整備される動きがあります。ここでは一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が2018年5月28日に公表した「ガイドラインの作成に向けた検討の開始」を紹介します。(太字は投稿者、以下同じ)
スマートフォンゲーム等における収益認識基準に関するガイドラインの作成に向けて(PDF)
https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/05/mcf_release_20180529.pdf
同文書によれば、
今般、2018 年 3 月 30 日に、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」)より公表された企業会計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第 30 号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「収益認識基準」)に沿って、スマートフォンゲーム等における収益認識に関する業界ガイドラインの作成に向けた検討を開始しましたので、ご報告させていただきます。
スマートフォンゲームに特有な膨大なゲーム内アイテム等に関連する収益認識に関して、主要なパターンに応じたガイドラインを作成することで、会員企業の過度な負担となることなく、より適正な会計処理ができることを目指しております。(略)
当団体会員企業は、スマートフォン向けサービスを事業として提供しておりますが、特にスマートフォンゲームに関しては、収益認識の基礎となり得るゲーム内アイテム等が膨大に存在しており、個別に算定することは大変困難であるという問題があります。
とのことで、これまでに2回の意見提出と1回の意見交換を実施しています。
本文書で引用されている2回目の意見提出では、ビジネスモデルからスマホアプリ固有の課題について非常にわかりやすくまとめられているので是非一読をおすすめします。
収益認識に関する会計基準(案)への意見書 ※2回目
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20170720_CL015.pdf
結論としては「ゲームユーザーがアイテム等を購⼊した時点」を「一時点」と解して、そのタイミングで履行義務が果たされたものと考えると主張していますね。また「一定期間にわたり」履行義務が果たされると解釈した場合でも、以下の課題が残ります。
これらのやりとりを受け、ASBJの公開草案へのコメントへの対応として以下の記述がありました。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/summary_20170720ed.pdf
(この資料の 24 ページ)
スマートフォンゲームにおけるゲーム内課金に係る収益認識については、収益認識会計基準第 38 項の要件に照らして、一時点で収益を認識すべきか、一定の期間にわたり収益を認識すべきかを判断する。仮に一定の期間にわたり収益を認識すべきと判断した場合には、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたって計上することとなる。
なお、上記の判断及び進捗度の適切な見積方法は、企業が提供するゲームの性質や、ゲームの中で使用されるアイテムの性質等を加味して決定されるべきものであり、企業やゲームによって、収益の認識時期は異なる可能性がある。そのため、単一の収益認識方法を会計基準の中で定めることは適切ではなく、各社が、自社が提供するゲームの実態を反映した適切な方法に基づき収益を認識すべきであると考えられる。
「一時点」の解釈には違和感がないので、この考え方を前提にガイドラインが公表されるのを待ちたいと思います。
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