[収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定

火曜日 , 24, 4月 2018 [収益認識]「一定の期間にわたる」履行義務の判定 はコメントを受け付けていません

新しい収益認識基準について。エントリの続きです。

包括的な収益認識の基準が導入されることにともない、ソフトウェアの会計処理や工事進行基準への影響があります。具体的には以下の基準等が廃止される予定です。

  • 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
  • 企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
  • 実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」

詳細については基準本文をご参照ください。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0330.html

基準38項の記述を引用します。(太字は筆者)

以下のいずれかを満たす場合、「一定の期間にわたり」履行義務を充足し収益を認識する。
1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
2. 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
3. 次の要件のいずれも満たすこと
(ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
(イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

具体的には、適用指針の[設例4][設例7][設例8]に解説があります。ここでは[設例7](コンサルティング・サービスを提供する契約)の記述を援用します。

  • A社(コンサルティング会社)からB社(ユーザー)に専門的意見を提供するサービスである
  • A社が契約を履行できない意外の理由で契約解除する場合は、発生費用に15%の利益を加算した金額をB社が補償する

[設例7]では、以下の判定基準により「一定の期間にわたり」履行義務を充足するものとしています。

  • 1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受するか

    A社が義務履行不能な場合、他のコンサルティング会社と契約しても仕掛中の便益を享受しない(それまでの作業を大幅にやり直すことになる)、ユーザーB社は専門的意見を受け取ったときしかA社の履行の便益を享受できないことから該当しない
  • 3. 次の要件のいずれも満たすか
    (ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
    (イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

    (ア)については、専門的意見形成が転用できない資産を生じさせないため該当しない
    (イ)については、履行を完了した部分について合理的な利益相当額を加えた対価を収受する強制力のある権利を有しているため該当する

いわゆる役務提供型のサービスについては、この38項の適用を検討するのが基本パターンということになりそうです。

 

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https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRwTakfmqf54-C6IJNHjC4oYmb5Hm_S3AA5xDmyQLYfcd1CQ/viewform?usp=sf_link

 

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