国税庁のウェブサイトが2018年3月31日にリニューアルされましたが、うまく機能していないようです。
国税庁Webサイト、全URL変更で混乱 サイト内検索も役立たず、「無限ループ」状態にhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/02/news108.html
国税庁ホームページリニューアルのお知らせ
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h29/renewal/index.htm
新しい ウェブ サイトでは右上の検索窓でキーワード入力して検索できる仕組みになっているものの、すべての検索結果のページが数秒後にトップページにリダイレクトされてしまい、必要な情報が掲載されているページにたどり着くことができず、またこれまでブックマークしていたページも辿ることができないという状態に陥りました。国税庁により検索結果の蓄積が行われるまで数週間の猶予が必要な旨がアナウンスされる一方、有志により新旧URLの変換サービスが提供されるなど、混乱が続いています。
サイト内検索について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/renewal/index.htm
「国税庁URL変換器」個人が開発 旧URLから新ページにアクセス リニューアルの混乱受け(IT media)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/03/news075.html
ちなみに、日本公認会計士協会のウェブサイトも2018年4月1日にリニューアルされていますが、こちらも旧URLが切れてしまっているなど適切な移行が行われていないようです。
「日本公認会計士協会ウェブサイトをリニューアルいたしました(日本公認会計士協会)」 (会計ニュース・コレクター)
http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/12108.html
今回のような問題が起きた原因として、大きく二つが考えられます。
まず、 発注側が構築側である開発ベンダーにシステム機能仕様を正しく伝えていたかどうかという問題。入札案件ですので仕様書は作成されているものの、プロジェクト開始後の要件定義の過程で細かな機能の確認がなされず、このような実装になったことが推測されます。
次に、テストの時(特に受入テストの時)に正しく機能が検証されていたかという問題。仕様に反映されていなければ検証のしようがないですが、仮に仕様に反映されていたとしても、今回のように検索結果の画面遷移が正しく行われるかどうかを含めてテストケースが必要十分な品質で作成されていたかは疑問が残ります。クローリングに一定の時間がかかるのであればその時間を見込んでテスト期間を設定すべきところですが、そのようなスケジュールが組まれていなかった可能性があります。
いずれにしても、システム導入プロジェクトのどこかで、発注側又は構築側のどちらかの手続に不備があったため期待された品質を満たさなかったのではないかと想像されます。
このような状況に陥らないためにどのような対策を打てば良いのでしょうか?
一つは発注側が(特に要件定義フェーズにおいて)正しく仕様を表現して構築側に伝えること。二つは、構築側が仕様書に表現しきれていない細かな機能品質について、発注側と連携して細かく協議を行って仕様の漏れを防ぐことでしょう。
また、今回のような状況を生んでしまった背景として、国税庁や日本公認会計士協会のような「情報を蓄積すること」がウェブサイトの価値であるということが正しく認識されていなかったのではないかという懸念があります。公認会計士や税理士といった会計専門家に限らず、ウェブサイトに記載されている様々なリファレンス情報は納税者を始めとした多くの利用者に情報提供することが一つの目的としてあるはずですが、必要な情報資源にアクセスできないような状況を生んでしまうということはそのような自らの役割を軽視している部分が少なからずあるのではないかと想像しております。事態が早々に収束することを見守りたいと思います。
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