仮想通貨の処理方法(会計および税務)まとめ

木曜日 , 7, 12月 2017 仮想通貨の処理方法(会計および税務)まとめ はコメントを受け付けていません

12月1日に公表された所得税法上の仮想通貨の扱いに続き、会計基準もその姿が明らかになってきたようです。

以下、備忘リンクとコメントを交えつつ現段階でのまとめエントリです。

(会計基準)

  • 仮想通貨は期末に時価評価し、価格変動に合わせ損益を認識する
  • 売却損益は売買の合意時点で認識する
  • 交換業者が預託者から預かった仮想通貨は資産として認識し、期末に時価評価する

実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」の公表

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2017/2017-1206.html

「仮想通貨「時価評価で」 企業会計基準委 来期から適用方針」(会計ニュース・コレクター)

http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/11639.html

仮想通貨の所得計算、具体例公表 国税庁がQ&A(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24143700R01C17A2000000/

 

(所得税)

  • 仮想通貨によって得た利益は雑所得として集計(総合所得を構成し、課税所得に応じて累進税率を適用する)ただし事業者が事業用資産として保有している場合は事業所得として集計
  • 仮想通貨取引で損失が出た場合は給与所得など他の所得と差し引き(損益通算)できない
  • 仮想通貨で商品を購入した場合は「商品価額-仮想通貨の取得価額」が所得金額となる
  • 仮想通貨同士を交換した場合は「他の仮想通貨の時価-保有する仮想通貨の取得価額」が所得金額となる
  • 仮想通貨が分岐した場合は新たな仮想通貨を売却又は使用した時点で所得が生じる
  • 仮想通貨のマイニングの場合は「収入(マイニングにより取得した仮想通貨の時価)-必要経費(マイニングに要した費用)」が所得金額となる

仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)(PDF)

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係(国税庁タックスアンサー)

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm

 

(消費税)

  • 仮想通貨に係る取引は非課税取引として集計する

非課税取引(国税庁タックスアンサー)

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm

残りは法人税上の扱いになりますが、これもあまり待たずに明らかになりそうです。

 

さて処理方法はさておき、仮想通貨と今後どのように付き合っていくべきなのでしょうか。なかなか判断が難しいところですが、利益が出たところで総合課税になるし損失が出ても通算できないしで国の懐を潤すだけの投資対象にも思えます。2017年は仮想通貨市場におけるボーナス期間のような意味合いが強かった年でしたが、今後同じような伸びが期待できるかどうかはわかりません。

最近お客様からもよくご質問を受けるのが「所得の申告にあたって仮想通貨を年末でいったん利益確定して確定申告するべきか、保有し続けるべきか」という話なのですが、考えられる解としては

  • 利益確定する: 一定の利得を得る一方で、総合所得を構成するので所得税(及び翌年の住民税)へのダメージが大きい
  • 保有し続ける: 売買を行わなければ損益が生じないので影響が少ない

のいずれかで、どちらが正解なのかは仮想通貨保有者の置かれた状況と心理次第という身も蓋もない結論になってしまいます。仮想通貨自体が現状では法定通貨としての信用力を持っていないいわば「おまけ通貨」という位置づけである現状では、そこから得られる利得も「おまけ所得」として割り切っておく(利得が大きくても小さくてもそんなものだと割り切る)のがよいのかもしれません。個人的には今の狂騒的状況は静観しつつ、仮想通貨が制度上も法定通貨として認められてから投資対象として真剣に検討するべきかと思います。

 

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