法人税申告で一緒に提出する「法人事業概況説明書」の様式が、平成30年4月1日以後終了事業年度分から改正されるようです。
国税庁: 「法人事業概況説明書」の様式が改訂されます
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/02-05.pdf
項目自体は細かな修正にとどまりますが、この手の修正をフォローするたびに私としては暗澹とした気分になります。というのも、どのような申告ソフトを使っていてもこの「紙の申告様式」の制約から逃れることができず、指定様式にちまちまとデータを再入力していくというまことに生産的でない作業に縛られるからです。
考えてみれば、申告業務のフローは「紙の申告様式」を大前提として組み立てられているため、そこかしこにボトルネックがあります。
法人事業概況説明書の場合、「主要科目」「月別の売上高等の状況」「期末従事員数党の状況」といった数値データは会計ソフトや給与ソフトが保持するデータと連動できるので、「紙の様式」という制約にこだわらなければもっと楽に作成できるはずなのですが、「紙の様式」に落とし込むという大前提があるせいで、結局はデータの再入力やチェックに余計な工数をとられるのが現状です。
e-Taxの仕様自体は公開されているものの、e-Taxソフト(当局純正の申告ソフト)のUIの悪さや機能の低さによって納税者や税理士が使いこなせるものではまったくなく、市販の申告ソフトもUIを工夫してる点以外は五十歩百歩。
仮に「紙の様式」にとらわれず申告データの受渡で完結するのであれば、
となり、かなりシンプルになるはずです。いたずらに人手を介さないことで、チェック業務も削減できるでしょう。もっとも申告納税制度の制約がありますし、「申告に必要なデータ」をすべて会計ソフトから抽出することも不可能ではありますが、大前提とされている「紙の申告様式」の制約を見直すこで申告業務の劇的な改善は見込めるはずです。こればかりは申告ソフトの進化ではどうにもならない部分です。役所と紙の文化は不可分かもしれませんが、様式の細かな修正などではなく、このあたり大胆にメスを入れてもらいたいと思うこの頃です。
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