(画像は http://arthurandersenco.com/en/ より)
週刊「経営財務」No.3301の飯田信夫氏による「アーサーアンダーセン復活に立ちはだかるもの」というコラムがあったので、非常に興味深く読みました。
アーサーアンダーセン(アンダーセン、以下AA)は2002年に消滅した大手監査事務所の名称ですが、フランスのビジネスマンが26カ国で近くサービスを開始するとのこと。一方ですでに名称やロゴを利用している事務所があり、権利の主張合戦になっているようです。
Andersen Taxという名称で税務サービスをやっている事務所もあるようです。こちらはAAとは無関係。
http://economia.icaew.com/en/news/march-2017/legal-fight-over-iconic-anderson-name
そういえば私のLinkedInにも唐突にアナウンスがやってきました。
AAは自分が最初に働いた事務所で、IT業界に転身する1998年まで6年半ぐらい籍を置いておりました。外資系ファームであることや研修制度の充実に惹かれて入所したものの、その後の大手事務所の合併に飲み込まれていったという歴史があります。当時は「ビッグ8」と呼ばれる8大事務所でした。一定の年代以上の方には懐かしい事務所名が並びます。
その後、合併統合を経て4大事務所(ビッグ4)に収斂していき、現在に至ります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Big_Four_accounting_firms
監査事務所「アーサーアンダーセン」とコンサルティング会社「アンダーセンコンサルティング(アクセンチュア)」の訴訟合戦というのも、すでに知る人が少ない過去のニュースですね。
AAは非常に優秀な同僚や先輩に恵まれた職場でした(研修マテリアルや監査調書は英語で参りましたが)。外国人比率や女性の比率も高くて理想的な職場環境ではあったのですが、合併統合のなかで外資系ファームの色が年を経るごとに薄まっていくさまを見るのはなんとも寂しいものがありました。
転職後数年してエンロン事件が起こり、AAは消滅することになりました。すでに別業界に居たので、どこか別世界の出来事のように記憶しています。超大手事務所でもかくも簡単に消滅することを実感したので、昨今の不祥事で名だたる大企業が上場廃止や消滅の憂き目に遭うことについては、ある意味耐性のようなものができたかもしれません。そういえば入所時にもらったAAのロゴ入りレポートパッドがものすごく使い勝手がよかったのにその後紛失してしまってとても残念。
個人的には、すでに終わったAAというブランドを奪い合うのがなんとも滑稽で今更感がありますが、利用できるものはほとぼりが冷めればなんでも利用する、という貪欲さがビジネスには必要なのかもしれません。
AAの成長と没落の帰結を書いた一冊がこちら。邦訳は出ていないようです。
Final Accounting: Ambition, Greed and the Fall of Arthur Andersen
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