IT委員会研究報告第50号「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」の公表

水曜日 , 28, 12月 2016 IT委員会研究報告第50号「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」の公表 はコメントを受け付けていません

今年もおわりですね。

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2016年12月26日に、日本公認会計士協会IT委員会研究報告第50号として

「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」

が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/n_member/specialized_field/20161226ahs.html?t

 

平成17年9月8日付けで公表したIT委員会研究報告第30号「e-文書法への対応と監査上の留意点」の見直しの一環として公表されています(本研究報告にともない30号は廃止)。

平成27年及び28年の内閣府令改正にともなう企業側の対応として想定するべき事項が記載されており、実質的に、上場企業ないしは上場準備企業が対象になります。

平成27年と28年の改正概要が付録を含めてコンパクトにまとめられているので、概要を理解するには役立ちそうな資料になっています。「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」ひな形も説明もあります。

内容は公開草案から大きく変更されてはいませんので、以前のエントリを再掲します。

(以下再掲)

本研究報告では「監査証拠がイメージ文書の場合の留意点」として、以下の4点が挙げられています。

1番目は「被監査会社の内部統制への影響」として、企業側で留意するべき点です。

(1)イメージ文書の特性から生じるリスク(改竄の痕跡、大規模な漏洩など)
(2)リスクの評価と対応及び統制活動
・全般統制
ア.スキャナ保存システムの開発管理
イ.アクセス権の管理及びユーザー認証
ウ.バックアップの実施
エ.情報セキュリティ対策の実施
オ.情報システムの運用管理
・業務処理統制
ア.関連付け
イ.電子署名
ウ.タイムスタンプ
エ.履歴情報の保存
オ.原本とイメージ文書の照合
・職務の分離
(3)モニタリングの実施

全般統制においては、スキャナ保存システムの開発管理や運用管理への影響が懸念され、また運用管理については文書の電子化プロセスや履歴情報の保存や保管という観点での管理運用規定の整備が求められることから、いずれにしても相応にパワーがかかりそうです。

業務処理統制においては、イメージ文書と帳簿の関連付けや電子署名の実質的な義務付けなど、こちらも従前の社内システムで対応できないポイントが多い模様。

 

2番目は「監査人の対応」として、監査人側で留意するべき点です。

(1)スキャナ保存手続の理解
(2)スキャナ保存に関する内部統制の理解及び整備・運用状況の有効性の評価
(3)不正リスクの検討
(4)イメージ文書の証明力の評価

特に(4)については「原本以外の文書の信頼性」が内部統制に依存するものとして、その証明力を評価するための追加的な手続を求めています(正しい管理番号が付されているか、電子署名やタイムスタンプの確認など)。対応する企業側としては、これらの手続に耐える運用を検討することになります。

3番目は「原本の保存に関する被監査会社との協議として、被監査会社と監査人が協議するべきポイントが例示されています。

(1)原本保管する必要性のある書類及びその期間の検討
(2)被監査会社の内部統制の検討
(3)文書管理規程等の改訂の検討

監査人との打ち合わせアジェンダのひな形として使われそうです。

 

4番目は「コンピュータ利用上の留意点」として、イメージ文書の取扱い全般にわたる留意点です。

(1)スキャナ保存データを利用した不正リスク対応
(2)スキャナ保存データの取扱い
(3)イメージ保存データ入手時の取扱い

(3)については「データ提供依頼書」といった文書を通した手続により、正確性・網羅性・正当性を担保するルールを定めています。

 

改正後の運用は29年1月1日より可能ですが、仮に導入を進める場合には社内システム更新への影響は早めに見積もっておいたほうがよさそうです。

(再掲おわり)

 

※当事務所では新スキャナ保存制度対応のご相談も承っております。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

https://ssl.form-mailer.jp/fms/e5d2273b248067

 

2016年は最後の更新になります。

2017年もよろしくお願い申し上げます。