「海外資産投資と国際税務」。サブタイトルは「富裕層が知っておくべき」。個人的にも懇意にさせていただいている永峰潤・三島浩光両先生の共著になります。
(略)こうしたグローバルスタンダードともいえる資産運用を実践するに当たっても、今の時代は信頼できる専門家とタッグを組むのが良作となっているのです。そこで、その一助としていただくために、これまで私達が培ってきた知見の一部をわかりやすく紹介するために本書を執筆いたしました。
このような前書きで始まる本書は、主として富裕層を対象とした資産防衛の考え方について解説しています。
序章 近年、増え続ける海外への資産移転と税制の関係
第1章 海外資産を取得する際に知っておきたいポイント
第2章 海外資産を保有中に知っておきたいポイント
第3章 海外資産を処分する際に知っておきたいポイント
第4章 海外資産を相続する際に知っておきたいポイント
第5章 アメリカの税制概要
第6章 ハワイ、シンガポール、スイスの資産基礎知識
このような目次で、実務経験に裏打ちされた記述が多く、楽しく読み進められます。
日本国内に関していえば、国財財産調書の作成にはじまり資産の取得・保有・処分・相続という場面に際してさまざまな規制の網がかけられつつあり、今後その流れは全世界的に不可逆なものであることが理解できます。特に処分については方法を間違えると本来負う必要のないデメリットが生まれてしまう可能性もありさまざまな前提知識が必要になります。(詳細は本書にて)
本書を概観して思うのは、まとまった資産を保有する(もしくは保有しつつある)層にとっては今年来年といった短いスパンでなく5-10年単位で財産をどう管理するべきか(したいのか)といった長期方針が必要になっていくであろうこと、究極的には「自分の人生に財産をどう生かしていくのか」という羅針盤が必要になっていく時代なのではないかという点です。自分自身も富裕層のお客様と仕事で関わることが多いですが、小手先の節税術ではなく財産をどう守りそして生かしていくのかお客様と一緒に向き合うための動機付けになる、そんな一冊でした。
当事務所へのお問い合わせはこちら
コメントを投稿するにはログインしてください。