仮想通貨利用の会計ルール整備が進んでいます

水曜日 , 14, 3月 2018 仮想通貨利用の会計ルール整備が進んでいます はコメントを受け付けていません

仮想通貨関連エントリの続きです。

仮想通貨(本来は暗号通貨というべきでしょうが)の企業会計におけるルールがようやく確定しつつあるようです。年末以降状況は激変しましたが、企業会計・所得税・消費税と揃ってきたので残るは法人税のみでしょうか。

「仮想通貨利用の会計ルール決定 ASBJ(日経より)」 (会計ニュース・コレクター)

http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/12009.html

仮想通貨利用者側に関しての公開草案のポイントは以下の内容です。

  • 期末における仮想通貨の評価
    • 活発な市場が存在する場合、市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する
    • 活発な市場が存在しない場合、取得原価をもって貸借対照表価額とする
    • 期末における処分見込価額(ゼロ又は備忘価額を含む。)が取得原価を下回る場合には、当該処分見込価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価と当該処分見込価額との差額は当期の損失として処理する
    • 前期以前において、前項に基づいて仮想通貨の取得原価と処分見込価額との差額を損失として処理した場合、当該損失処理額について、当期に戻入れを行わない。
  • 仮想通貨の取引に係る活発な市場の判断の変更時
    • 「活発な市場が存在する」仮想通貨が「活発な市場が存在しない」仮想通貨となった場合、「活発な市場が存在しない」仮想通貨となる前に最後に観察された市場価格に基づく価額をもって取得原価とし、評価差額は当期の損益として処理する

仮想通貨交換業者側に関してのポイントは以下の内容です。

  • 仮想通貨預り時の処理
    • 預託者との預託の合意に基づいて仮想通貨を預かった時に、預かった仮想通貨を資産として認識する(帳簿価額は預り時の時価で算定)
    • 預託者に対する返還義務を負債として認識する(帳簿価額の算定方法は資産と同じ)
  • 仮想通貨の期末評価
    • 仮想通貨交換業者が保有する同一種類の仮想通貨から簿価分離したうえで、活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の分類に応じて保有者と同様の方法で評価する
    • 預託者への返還義務として計上した負債の期末の貸借対照表価額を、対応する預かった仮想通貨に係る資産の期末の貸借対照表価額と同額とし、預託者から預かった仮想通貨に係る資産及び負債の期末評価からは損益を計上しない

実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」に寄せられたコメント

実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」に寄せられたコメント

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20171206_CL08.pdf

件のMUFJのコメントはこのような内容でした。

ただし、発行会社(交換業者を兼ねる場合を含む)が将来に渡り発行した仮想通貨と法定通貨を交換することを保証しているため、発行に係る負債を計上し続ける場合の、発行会社における当該発行した仮想通貨の会計処理は除く。

ICOについてはまだ不透明な状況でもあるのでまずは対象外とし、今後ルール整備を決めていくというストーリーのようです。本基準は平成 30 年 4 月1日以後開始する事業年度の期首から適用だそうなので、実務が先行(あるいは混乱)する状況であまり時間がないなか、大急ぎで策定したように見えます。

 

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