法定調書作成業務への2つの疑問

金曜日 , 12, 1月 2018 法定調書作成業務への2つの疑問 はコメントを受け付けていません。

この季節の憂鬱な業務に「法定調書作成業務」があります。財務経理部門以外にはあまりなじみがない業務ですが、前の年に毎月会社から支払われた給与や報酬の金額および源泉所得税として会社が預かった金額を集計して税務署や自治体に提出する業務です。具体的には以下の書類を作成して1月31日までに提出することになってまして、書類の数は結構多いです。

  • 給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書(個人別明細書)→税務署へ
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表→税務署へ
  • 給与支払報告書(総括表)→自治体へ
  • 給与支払報告書(個人別明細書)→自治体へ
  • 給与所得の源泉徴収票→受給者本人へ
  • 支払調書→受給者本人へ

最近では給与支払報告書も自治体毎に一つずつでなくまとめて提出できるようになったりでシステムに改善も見られるのですが、そういう細かい点ではなくもっと根本的な点で感じている疑問が2つほどありまして。

  • 提出期限が一律1月31日である必要があるのか
  • そもそも法定調書を作成する必要性があるのか

まず提出期限については、従来からこのようなルールになっていてなぜか変更もできないわけで今更変更する余地はないのかもしれませんが、決算日も会社によって違うという現状にまったくフィットしてません。提出タイミングも1月に集中するので作成者も税務当局もお互い不幸になっています。(昨年は1月末前後に申請システムへのアクセスが集中して混乱が起きました)

そして、そもそも法定調書は「1年分の給与や報酬の発生状況を紙(およびそれを再現した入力画面)の所定書式に集計して転記する」というまったく付加価値のない作業による成果物です。「日々の給与や報酬の支払状況と、付随して発生する源泉所得税の金額を正確に補足する」という目的に照らすならば、たとえば

  • 会社から給与や報酬を(源泉所得税を控除して)支払う
  • 源泉所得税税対象になっている金額を自動集計する
  • 当局に随時送信されて会社別・個人別金額が集計される
  • 修正があった場合は会社のデータ修正にともない当局側のデータも更新される

という仕組みで自動化もできるはず。わざわざ「書面」にまとめる意味はありません。しかも今は(是非はさておき)マイナンバーでトレースできるのだから個人別の支払額や税額の集計も容易なのに、なぜかそのような仕組みにはなっていないのが不思議です。(内部的にはそのような仕組みがあるのかもしれないですが、少なくとも我々から見える情報はそのようになっていいない)。

この業務でボトルネックになっているのはひとえに法定調書という「紙の様式」にほかなりません。すでにあるデータを再度集計して紙の書式に転記することにどれほどの意味があるのかというと、個人的にはまったく意味がない作業だと思っています。特に行政手続に顕著ですが、こういった「データ→紙→データ」という付加価値のないデータ変換作業による社会コストは相当な規模かと推察されます。

士業の日々の仕事に埋没しているとどうしても制度設計に従順になりがちなので、時々立ち止まって制度そのものも矛盾も考えたほうがよさそうです。(とはいえ報酬をお客様からいただいて行っている業務ですから手を抜くことはなく、これはこれでしっかりと進めます)

もやもやを抱えながらも、また法定調書を粛々と作成する業務に戻りたいと思います。現場からは以上です。

 

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