会計システムの導入リスクに直結する経理業務の季節性って?

水曜日 , 20, 2月 2019 会計システムの導入リスクに直結する経理業務の季節性って? はコメントを受け付けていません。

日立造船でのSAP S4/HANA導入が長引いて決算発表が延期されたそうです。

日立造船の決算発表延期、SAP最新版導入による影響

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41307410V10C19A2000000/

2019 年3月期第3四半期決算短信公表の遅延に関するお知らせ(PDF)

http://www.hitachizosen.co.jp/2018Q3_chien0201.pdf

本事案のベンダーは日本IBM。記事によればデータの移行検証がトリガとなったようで、引当計上金額の「あるべき」金額が新システムの出力結果と合わず、(おそらくは見積工数のバッファも使い切って)延期という判断に踏み切ったようです。第3四半期決算短信の公表予定日を当初期限の2月15日から一ヶ月延長した3月14日に再設定しています。

S4/HANAはSAP社の次世代製品ラインですが、オンプレミスからクラウドに時代が推移してもシステム導入の苦労は今もなお続いているようです。最新の製品であれば新機能にまつわる不具合を完全に解消しきれていないこともあるのでしょう。

本事案についてはユーザー側もベンダー側も苦渋の選択の結果とは想像しますが、もとより会計システム(特に一般会計システムなど基幹系システム)及びそれらと連携する業務システムの構築にあたっては、経理業務固有の季節性が大きな制約になってしまうという悩ましい一面があります。

経理部門では定期的な制度会計イベントの制約があるため、実際の導入にかけられるユーザー側の工数には限界があり、実質的に本格的な対応時間を確保できる期間が限られます。しかも現業を抱えながらなので、確保できる工数もフルタイムというわけにはいきません。

3月決算法人の場合、制度会計のイベントは以下があります。(これらにまつわる外部監査対応を含みます)

  • 4-5月 年次決算(単体、連結、決算短信)
  • 6月 株主総会対応
  • 7月 第1四半期決算
  • 10月 第2四半期決算
  • 1月 第3四半期決算

また上場企業であれば、事業年度終了間際でのITインフラの大幅な変更は内部統制の再評価につながってしまうのでなるべく避けたいところです。そうなると2-3月もスケジュールとして確保するのは難しくなるので、プロジェクトにしっかり時間を割けるタイミングは

  • 8月後半-9月後半
  • 11月中盤-12月後半

と非常に少なくなります(夏期休暇や年末年始とも重なるのでさらに少なくなりますね)。こういったスケジュールの制約のなかで、求められる品質を確保して業務システムを稼働させるのは非常に困難を伴います。また会計システムはさまざまな業務システムとのデータ連携が伴うため、連携機能および移行データの検証にかかる工数も膨大なものになるでしょう。またうまく構築やテストが完了しても、運用面でのトラブルが起きればシステム切替タイミングの区切りのよい3月末を逃してしまい、次のタイミングが半年後や一年後になってしまうこともあります。

本事案では厳しい選択となりましたが、それまでにかけた工数及び費用が水泡に帰すことのないよう、価値のあるシステムが完成してスムーズな運用にこぎつけられることを祈るばかりです。

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