SaaSビジネスの事業管理モデルを知ろう

水曜日 , 25, 10月 2017 SaaSビジネスの事業管理モデルを知ろう はコメントを受け付けていません

SaaSビジネスを展開する企業の収益モデル(いわゆるサブスクリプションモデル)の事業管理においては、伝統的な財務会計による損益計算書とは異なる計算が求められますが、それはどのような考え方なのでしょうか。これについてSalesforceがまとめた創業者向けガイドに基本的な考え方がまとめられています。一部ではすっかり有名な文書ですが、無料で入手できますので一度目を通してみてください。

 

SaaS創業者向けスタートアップガイド(日本語)

https://www.salesforce.com/jp/solutions/small-business-solutions/resources/SaaS-Startup-Founders-Guide/

SaaS Startup Founder’s Guide(英語)※右下にePubのリンクがあります

https://www.salesforce.com/solutions/salesforce-for-startups/overview/

 

なお、同文書についてはこちらのブログによくまとめられています。

ネットフリックスの値上げから考えるサブスクリプションモデルの適切なKPI設定(なおゆきさんのnote)

https://note.mu/naoyuki884/n/nf8daed9d9220

(以下は同エントリの受け売りになりますが)SaaS企業は月額/年額でユーザーが料金を払うことで、他の業態に比べて年単位での収益を予測しやすいという特徴があります。具体的に、年間定期収益(ARR, Annual Recurring Revenue)と呼ばれる「期初時点での1年先の見込み収益」が主要な業績管理指標として多くのSaaS企業で採用されています。ARRは月次定期収益(MRR, Monthly Recurring Revenue)を12ヶ月分積み上げた数字になります。

とりあえず、以下の2つの考え方は知っておいて損はないと思います。

SaaS企業の損益計算書モデル

(SaaS創業者向けスタートアップガイドより引用)

また、こちらはSalesforceで採用されている管理指標を表すthe modelという図になります。

(http://success.salesforce.co.jp/assets/SuccessClinic100126.pdfより引用)

事業管理と財務会計の二つの要請に応えていくためには、たとえばユーザーからの支払(たとえば年額払い)が発生したときに、財務会計上の収益認識の考え方による集計(役務が提供された部分について収益を認識する)と、ARRベースでの収益の集計(役務提供のいかんに関わらず、月額で追加獲得/アップグレードにより支払われた利用料をもとに集計する)が同じタイミングでできるのが理想なわけですが、私の観測する範囲ではARRベースから財務会計ベースへの組替を手動計算で行っているところが多いです(さすがにSalesforceの規模の企業であれば自動化されていそうですが)。

SaaS企業が数多く活動している昨今では、このあたりを自動化するニーズも実は多いのかもしれません。もちろん管理指標は唯一絶対のものではないので、提供するサービスの性質に合った管理指標を運用する必要があります。

 

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