【書籍】スタートアップ・バブル

火曜日 , 22, 8月 2017 【書籍】スタートアップ・バブル はコメントを受け付けていません

今回の夏休み課題図書のひとつ。読みやすくて一気に読了してしまいました。

スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家

ニューズウィーク誌などで長年ジャーナリストとして過ごしてきた筆者がリストラをきっかけにITベンチャーに転職し、そこでの体験を中高年ならではの視点で赤裸々に綴ったという、いわゆる暴露本です。NYSEに現在も上場している会社が実名で出てきますし、主要な人物はニックネームで語られますが一部は本名で登場する(理由はエピローグを読むとわかります)、非常に刺激的な内容になっています。結局会社は無事にIPOを迎え、筆者は静かに会社を去ることになるのですが。

本書に実名で登場するITベンチャーの企業風土、役員や従業員の奇矯な振る舞い、中高年で転職することでの戸惑い、結果として味わう蹉跌など、本書からの学びは多くあります。すべてのITベンチャーが本書のような会社ということはないですが、極端に走るとこのようになるというよいケーススタディにもなっています。

リアルな題材なので、本書で書かれている事実関係が今でも閲覧できたりします。

例の会社

https://finance.yahoo.com/quote/hubs?ltr=1

例のプレゼン資料

https://www.hubspot.com/blog/bid/5831/The-HubSpot-Code-Creating-A-Company-We-Love#

例のプレスリリース(本書エピローグを読んでから見ると楽しさ倍増)

http://ir.hubspot.com/investors/news-and-events/press-release-details/2015/HubSpot-Appoints-Kipp-Bodnar-as-Chief-Marketing-Officer/default.aspx

本書はさまざまな読者層におすすめですが、読者の属性を「若者」か「中高年」のいずれか、若しくは「経営者」か「従業員」のいずれかに分けるならば、私自身のベンチャー企業の経験(従業員や経営者として)を踏まえておこがましいと思いつつ以下のようなアドバイスができそうです。(ここでは仮の線引きとして「中高年」を30代中盤から40代より上の年齢と定義します)

  • ベンチャー経営者の若者(もしくは志望者)
    起業にあたっての阻害要因はなにもありません。情熱と体力にまかせてひたすら頑張りましょう。ただし、闇雲に頑張るだけでなく、投資家の考え方や振る舞いを本書を読んであらかじめ予備知識としておくとよりよいかもしれません。
  • ベンチャー従業員の若者(もしくは志望者)
    従業員としてベンチャーに飛び込むのはそれなりにリスクを伴います。金銭的報酬だけを目当てにすると長続きしないでしょう。転職を考えるのであれば、ベンチャー経営者や投資家がどのような視点で従業員を見ているかを本書を読んでよく知ったうえで判断したほうがよさそうです。
  • ベンチャー経営者の中高年(もしくは志望者)
    周囲の声は気にせず、やりたいようにやればよいと思います。ビジネスマンとしてのそれまでの経験や実績から、若者よりも成功確率が高くなる可能性があります。ベテランならではのベンチャーでの生き残るヒントも本書にあるかもしれません。がんばりましょう。
  • ベンチャー従業員の中高年(もしくは志望者)
    やめましょう。というのは言い過ぎですが、本書の筆者が味わった辛酸からの学びとして、ベンチャーへの転職はかなりの冒険になるということ。しっかり準備か覚悟しないとパフォーマンスを出すのは難しいと思います。

読者の属性によってさまざまな学びがある一冊ですのでぜひご一読を。

 

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