岩谷誠治さんの新刊です。
【目次】
第I章 消費税の基本
第II章 消費税法改正によるシステム改変の経緯
第III章 リバースチャージ方式への対応
第IV章 軽減税率の導入
第V章 会計システムにおける消費税計算
第VI章 会計システムへの影響と対応策
第VII章 電子帳簿とスキャナ保存制度
どの領域も「これ一冊でOK」的な位置づけの書籍があるものですが、消費税の軽減税率についての解説であればこれ一冊でOKです。個人的には第IV章に注目。
第II章 消費税法改正によるシステム改変の経緯
では、消費税導入時から関わりをもってきた著者ならではの味わい深い解説が続きます。
第III章 リバースチャージ方式への対応
では、まとまった解説が少ないリバースチャージについての丁寧な解説が行われています。
第IV章 軽減税率の導入
では、軽減税率についてきっちり解説をまとめあげる著者のモチベーションに脱帽しました。というのも、軽減税率制度自体が消費税の制度設計として歪みや混乱を生むだけで、諸外国でも導入成功しているとは言い難い状況でごり押し的に通された悪法だと考えている私にとって、そのポイントを正面から解説する気にはなかなかなれず、関連領域の情報をまともに集める気にすらならなかったからです。その意味ではどのような制度設計であってもプロとして真摯に取り組む姿勢が本章には随所に見られます。
第V章 会計システムにおける消費税計算
第VI章 会計システムへの影響と対応策
では、今回も平易でわかりやすい解説がなされています。会計システムへの影響や対応策については著者の得意領域ですね。
第VII章 電子帳簿とスキャナ保存制度
では、近年頻繁に改正されているスキャナ保存制度の経緯と改正内容がコンパクトにまとめられています。
消費税のシステム実装について横断的に理解するにはおすすめの一冊といえます。
しかし政治的思惑から二転三転する宿命を負っている消費税の制度設計は、無事にインボイス方式(2023年予定)まで到達できるのかどうか。当面の関心事になりそうです。