[書籍]NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方

月曜日 , 4, 2月 2019 [書籍]NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方 はコメントを受け付けていません。

basecamp社(旧37signal)の経営陣が著者として名を連ねます。サービスとしてのbasecampを日常的に使っているのもあり、大変興味深く読みました。前著「小さなチーム、大きな仕事」と共通のテーマで、引き続き働くことのあり方について独自の視点を提示しています。basecampは2003年創立の企業で、世界各拠点で54人の従業員が働いているそう。

NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方

原書のAudible版はこちらになります。原題は”It Doesn’t Have to Be Crazy at Work “なので、邦題はマイルドにした感じでしょうか。(本文中でも、crazyなのは仕事の在り方であって人のことは指していないと説明されています)

It Doesn’t Have to Be Crazy at Work (English Edition) Kindle版
Jason Fried (著), David Heinemeier Hansson

同社は「穏やかな会社」(カーム・カンパニー)を目指しており、具体的には表紙にも挙げられている以下のような特徴の会社であるようです。

  • 1日8時間労働
  • 週40時間労働
  • たっぷりの自分の時間
  • 快適なペースの日々
  • 週末の仕事ゼロ
  • 会議はまれ
  • せかされない
  • 現実的な締め切り
  • 即答は不要
  • 時間をかけて検討
  • 夜はグッスリ眠る
  • ありあまるほどの自主性
  • 働く場所はどこでもOK

basecampのメンバー自身が悩んだ、がむしゃらに時間をつかって人生を犠牲にするような働き方へのアンチテーゼとしてこのようなスタイルを提唱しています。ソフトウェア開発企業でありながら「外部の資金調達なし」「目標を設定しない」「週40時間以内労働にこだわる」「従業員の時間と集中力を最大限に守る」「仕事に携わる場所と時間にはこだわらない」といったスタイルはかなり異端と言えます。質問を受け付ける「開講時間」(オフィス・アワー)のアイデアは興味深いですし、給与交渉はせずに市場相場に基づく職種とレベルに基づいて基準賃金を支払うという考え方は非常に合理的です。

個人的にbasecampのヘビーユーザーとして思うのは、このような思想が同社が出しているサービスのあちこちに出てるなという点。チャットのように即応性を求めるコミュニケーションはとらないですし(基本はメールか掲示板)、人のカレンダーに予定を割り込む機能を実装していないのはちゃんと根拠がありました。実際、basecampで社内外のコミュニケーションを行っていて思うのは、(急かすような例外的状況は除き)自分の集中できる時間を確保できるよう工夫されているということ。

特にチャットは即応性があって非常に便利な反面、割かれる時間が多くまとまった知見を共有するには向いていないという特徴があります。このあたりはツールの使い分けが必要なのでしょう。本書でも提示されているようなに、即応性の必要なやりとりはチャットでやりつつ「考える時間ができて、ちゃんとした文書で書く機会がつくれるまで待てる内容」についてはそれに向いたツールを使うのがバランスがとれます。

basecampの追求する経営スタイルは短期的な成長を求めるベンチャーには定着しにくいでしょうが、従業員満足を追求しつつ安定成長を求める組織にとってはよいモデルケースになるのではないかと思います。「会社は製品であり、継続的に変化していかなければならない」という考え方には大いに賛同できます。

本書の欠点は、定量的なデータを示していないのでユニークな発想を観念的に提示するにとどまっているという点でしょうか。basecampでの成功例が汎用的に使えるテクニックであるという証拠は示されず、耳聞こえのよいメッセージがちりばめられていれていて非常に読みやすい反面読了後のストレスがあります。あと、文章の主語が常に「ぼくらは」「ぼくたちは」なのは子供じみていて嗜好に合いませんでした。「私は」「私たちは」でいいと思うのですが。

当事務所も継続的に人材を募集していますが、お互いがなるべく快適に働ける環境を追求していきたいとの思いから日々試行錯誤しております。

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